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ほろ酔いサイダー9
「生演奏もやるのか」
宏介は関心しながらリズムに合わせて手を叩き出す。自然と俺もリズムに合わせながら身体を動かしていた。
そんな雰囲気がどんどん店内を盛り上げていき、見知らぬ客同士が演奏している場所へと近付いていく。我こそはと目立つような踊りを見せ、それが余計に盛り上がっている。他人がやっているのを見ている分には面白い光景だ。
「なぁ、向こうでもこんなことはあるのか?」
「ん? 海外行くとだいたいこんな感じだよ。日本人と違ってかなり感情表現豊かだからね。君が女の子を口説くときみたいな」
「はぁ!? 俺そこまで口説いてねーし」
「でも同期の中で一番モテてた記憶があるよ」
「んなことあるか」
思わず掴み掛かるように近付き、俺は宏介を壁へと追い込む。壁に手を付いて宏介を見下ろしながら睨む。
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