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ほろ酔いサイダー13

 大丈夫か、と心配になりながらも問題なく辿り着いたようなので一安心した。  俺と一緒にそんな様子を見ていた宏介であるが、そういえば俺の注文は一体何にしたのだろうか。べらぼうに高いものを頼まれていたら、と急に気になってきた。 「なぁ、さっき何頼んだんだ?」 「あれ、もうネタバレしちゃいたいの? やだなー」 「はぁ? 高いやつ頼んでたら割り勘にするぞ」 「あはは。そこは大丈夫だから、安心して?」  そう言ってきた仕草は、甘えるような女子を彷彿とさせた。こいつは男だ、と心の中で言い聞かせながら俺は短く返事をした。  そして再び待っている間に話しながら演奏に聞き入っていた。より盛り上がりを見せる音楽は、素面であってもとても楽しい気分にさせてくれるであろう旋律である。  踊りだしそうになる身体をじっとさせながら他愛もない会話をしていると、先に頼んでいた俺と宏介の注文が先に届いた。

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