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ほろ酔いサイダー37

 楽しみでしょうがないといった顔を横目に、何か特別なものがあるのだろうかという期待を抱く。  普段こういった公園に来ることはほとんどなく、最後に来たのはいつだったかと思い出せない。静かなところはとても嬉しい。  宏介が歩き出したところで、俺も横に並ぶ。短い信号を渡り終え、公園の入り口へと向かう。  なだらかな下り坂になっているところを入り、どんどん奥へと進む。  狭い道が急に広くなり、そこにあるものは、このあたりの交通を支える大きな橋の全貌であった。夜になると輝くそこは、昼間の日差しを浴びる姿でも十分に迫力があった。 「すげー……」 「ここ、橋もばっちり見えて静かでいいんだ。俺のとっておき」 「誰かと出掛けるときはいつも人混みだったから、こんな静かな場所は新鮮だ」 「例えば?」 「テーマパー……」  言いかけたところで、宏介が笑っている顔が見えた。慌てて口を閉じたが、ほとんど出てしまっていたので答えは容易に推測できる。

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