39 / 214

ほろ酔いサイダー39

 それと同時に思い出すのは、今日こうして宏介と一緒に出掛けるきっかけを作ってくれた、アップルサイダー。あれがなければ、宏介と再び話すこともなかっただろう。 「ねぇ」  宏介が話し掛けてきた。優しい笑みの中には、どこか緊張感が混じっているともいえる。 「何だ?」 「また、こうして二人で飲みに行こ。それから、翔也のおすすめのお店とかも教えてよ」 「俺のおすすめかー。……うん、探しておくよ」 「あはは。今まで行ったお店じゃないんだ」 「宏介のために、しっかりお店探してやるよ。こうして落ち着いて話せる店を」  きっと時間を忘れるくらい、様々な話を続けられる自信がある。心のどこかからそんなことを思えていた。 「翔也……。俺、そんなこと言われたら毎週誘っちゃうよ?」 「毎週って。行きたいけど金がなくなる」

ともだちにシェアしよう!