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プライステイスト2
コウはそう言うと、読んでいた本を閉じてようやく立ち上がってタクトに近付く。そして彼の横へ座ると、モニターを覗き込む。
タクトの見ていたページを何度かスクロールさせながら、元に戻ったところで伸ばしていた手を離した。
「あー、これか。これはそんなに美味くねぇな」
「えっ、そうなの? 評価は結構良さそうなのになー……」
「タクトのお子ちゃまな感覚じゃ分からねぇだろ」
「失礼な! お酒を飲めるようになってもう二年は経つから!」
「俺にとっちゃいつまでも変わんねーよ」
ムッと頬を膨らましながらコウを見るタクト。
そんな姿の彼にコウは無表情で顎を掴むと、顔を近付けて唇を重ねた。少し強引なその行為は、さっきまで騒いでいたタクトを落ち着かせるための行為であった。
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