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プライステイスト13
「ただいまー」
「あ、コウ、おかえりー」
バタバタとした足取りで帰ってきたコウの元へと近寄る。
「……今日はなんかあるのか?」
「この前頼んだワインが届いたんだ。だから、俺がいっぱいそれに合うもの作ったよ」
笑顔でそう語るタクトであったが、コウの表情はあまり晴れやかなものではなかった。しばらく疑いの眼差しを向けていたが、ふと手に持っていた白い箱の存在を思い出して彼に差し出す。
「そうだ。土産を買ってきたんだ。デザートだから冷やしておけ」
「やったー! 冷やしておくね。何かな何かなー」
タクトは箱を少し開けながら冷蔵庫へと向かう。その中には薄いピンク色のものが入っていた。
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