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プライステイスト15

 コウの手を制しながらタクトは焼き上がったばかりのタンドリーフィッシュを運んでいく。これでようやく夕食の準備が整ったようだ。  よし、とエプロンを脱ぎながら戻ろうとすると、フォーク二つとワインオープナーとトーションを持ったコウが部屋に入ってきた。 「コウ、ありがと。ちょっと待っててね」  バタバタとエプロンを洗面所の洗濯機のところへ入れ、キッチンの棚からワイングラス六つを手にしてから部屋へと戻る。左側の定席にコウはすでに座っていた。タクトもその隣に座る。 「さっきのはタンドリーフィッシュで、チキンのガーリックソテーとピクルスか? やけに一皿の量が多いし、パンも何もねぇのか」 「ピクルスは合ってるけど、チキンはローズマリーも使ったよ。俺的にはワインはつまみながら食べるイメージだからこれだけ。あとはデザートにコウが買ってきてくれたムース」 「まぁいい。久々にタクトの料理の腕前を拝見といこうか」  そう言いながらコウは並べられたワインから自分に一番近い左端のボトルを取った。それは赤ワインであった。  ワインオープナーのナイフを出し、ボトルの口を覆うカバーに切れ込みを入れる。かなり手慣れているようで、ボトルを回すことなくきれいに切られていく。

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