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プライステイスト16
あっという間にくるりと一周させると、サッと取り外して出てきた破片をテーブルの端に置く。
ナイフをしまい、今度はスクリューを出す。少し寝かせた状態で先端をコルクに突き刺し、しっかりと確認したところで全体を垂直に起こす。真っ直ぐ垂直に、何度もやってきたその手はいとも簡単にやっていく。
その手付きを、タクトは横で目を輝かせながらまじまじと眺めていた。
ある程度のところまで入ったところでコウの手は止まり、ボトルの端にナイフを引っ掛ける。左手でボトルとナイフを押さえ、右手で引き上げていく。
垂直方向に引き上げるようにしていくと、その手はいとも簡単にコルクを抜いて開栓したのだった。
「おー……。さすが現役ソムリエ」
「まだ見習いな」
最後は優しく手で引き抜き、コルクが完全にボトルから離れていった。
刺さったままのそれを、無意識のうちに香りを確かめるコウ。その姿に首を傾げながらも普通であると認識されていた。
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