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プライステイスト17
視線に気付き、刺さったままテーブルへ置いてからボトルをタクトのグラスに傾けていく。少量入れたところで、自分のグラスにも注いだ。
入れ終えたところでトーションで拭いながらゆっくりボトルをテーブルに置き、ようやく準備が整った。
タクトがグラスを持つと、自然とコウも同じ動作をする。
「それじゃ、カンパーイ」
軽くグラスを鳴らし、タクトは念願のワインをゆっくりと口にしていく。
その横でいつも通りに飲んでいくコウ。特に味わうこともなく、あっという間に飲み干してしまった。
次の一杯を入れていると、タクトの表情が次第に変わっていった。段々と眉間に皺が寄っていく。
「うぅ……。渋い……」
「だから言っただろ。タクトのお子ちゃまな感覚じゃ分からねぇって」
「んー……」
「ワインは高けりゃいいってもんでもねぇ。味やアルコール、そもそもグラスから変わってくる。それに、タクトは割と甘めの味付けが好きだろ。スパークリングかジンジャーエールでも割っておけ」
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