59 / 214

プライステイスト17

 視線に気付き、刺さったままテーブルへ置いてからボトルをタクトのグラスに傾けていく。少量入れたところで、自分のグラスにも注いだ。  入れ終えたところでトーションで拭いながらゆっくりボトルをテーブルに置き、ようやく準備が整った。  タクトがグラスを持つと、自然とコウも同じ動作をする。 「それじゃ、カンパーイ」  軽くグラスを鳴らし、タクトは念願のワインをゆっくりと口にしていく。  その横でいつも通りに飲んでいくコウ。特に味わうこともなく、あっという間に飲み干してしまった。  次の一杯を入れていると、タクトの表情が次第に変わっていった。段々と眉間に皺が寄っていく。 「うぅ……。渋い……」 「だから言っただろ。タクトのお子ちゃまな感覚じゃ分からねぇって」 「んー……」 「ワインは高けりゃいいってもんでもねぇ。味やアルコール、そもそもグラスから変わってくる。それに、タクトは割と甘めの味付けが好きだろ。スパークリングかジンジャーエールでも割っておけ」

ともだちにシェアしよう!