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秘密の味4

「すいません、お冷お願いします……」  大丈夫かな、とちらりと見ると、どんどん顔色が悪くなっている気がする。それでもこの人は誰にも心配を掛けないようにゆっくりと飲み食いしている。  しばらくすると注文していた飲み物がやって来た。俺は手元に来るなり、止めていた箸を再び進めながら飲み続ける。  濃厚というだけあり、ウイスキーの味がしっかりしている。ほとんどのハイボールは炭酸が強めであるが、これは微炭酸のようで水割りとも思える。好みがはっきりとするかもしれないが、俺はかなり好きである。 「お前、よく食うなー」 「どれも美味いっすよ。いい店っすね」 「そうか。俺も食うとするか」  山本さんがようやく箸を動かし始めた。俺と同じように気に入ったようで、無言になった。  俺は賑やかな飲み会は嫌いではないが、静かに味を堪能する方が好きだ。飲み会に参加してもほとんどこうなってしまっている。

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