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秘密の味5

 だが、今日はそれだけではなく向かいの人のことも気になってしまう。  金森さんはちびちびと水を飲みながら、少しずつ盛った料理を食べている。それでも、あまり箸が進んでいないように思える。  そして俺がハイボールを半分飲み終えたところで、そっと席を立ってどこかへと行ってしまった。  少し心配をしつつも、俺は新たに運ばれてきた料理に釘付けになった。  大人数であれば定番の鍋。新鮮な野菜と肉がぎゅうぎゅうに詰められた鍋が、カセットコンロの上に置かれる。ガチャリと火が付けられ、最大火力で熱していく。 「すいませーん、ハイボールお願いします」  同じものを追加注文していく。二つ、三つ、と何人かも俺と同じものを頼んでいた。  ぐつぐつと火が通っていく鍋を眺めつつ、残っているものをどんどん口に入れていく。

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