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秘密の味12

 忘れないうちに、俺は財布の中から万札を取り出し、隣りにいた人に渡しておいた。 「俺と金森さんの分の会計、お願いします。んじゃ、お先に失礼します」  ちらほらと飲み食いしながら挨拶をする人たち。俺はそのまま去っていった。  念のためにトイレを確認すると、金森さんの姿はなかった。少し安心したところで店の外に出ると、俺の言ったことを守ったように外の椅子に座っている姿があった。 「おまたせ。荷物持ってきたよ」  重い頭をゆっくりとこちらに向け、上着を受け取って羽織り、バッグを掛ける。  よろよろとした動きで立ち上がると、ゆっくりと出口へと向かった。俺はその隣に並んで歩く。 「カナさん、おじいちゃんって言われることない?」 「うっさい」

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