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秘密の味13

 身体を支えるついでに触れようとしたが、この調子では振り払われてしまうと思い、手を引っ込めた。  しかし、万全の体調でない身体は真っ直ぐ歩くことができず、フラフラと横に移動しながら登っている。やっぱり見ていられない状態だ。俺はさっと隣に移動し、腕を俺の肩に回させて振り払われないようにぎゅっと手を握った。 「はな、せっ」 「だーめ。そんなフラフラだと危なっかしいよ。酔っ払いって見られるだけだから安心して。それとも、俺に背負われてく?」 「っ……」  俺もさすがに背負って自宅までの二駅分を歩く体力は残っていないが、注目されることをする気はないようで大人しくなった。  階段を登り終え、平らな道を歩き出す。繁華街はまだまだ騒がしいが、そこまで混雑した様子ではない。  信号を二つ通り過ぎただけですぐに閑静な道へと入っていき、俺たちは二人きりとなった。  いつもよりも遅い足取りであるが、なんとか歩けている状態だ。金森さんは俯きながら歩いており、特に話そうとする素振りも見せない。

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