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秘密の味25

「俺、カナさんが思ってるよりもカナさんのこと好きだし、ものすごく甘やかしたいんだ。あんまりストレスになってほしくないからあーだこーだ言いたくないの」 「じゃ、甘やかして」  そう言うと、重い腕を上に伸ばして俺の身体に絡みついてきた。重みを掛けるように俺の身体を引き寄せる。 「わっ、ちょっ、ストップストップ!」  零れそうになったコップを庇いながら、近付けようとした力を制止した。  そして再び不機嫌そうな表情をする。 「……んだよ」 「俺まだ飲んでるから! それに……」  金森さんに近い方の手からコップを移動させ、その指で唇をなぞる。その感覚にビクリと反応する姿も愛おしいと思える。 「それに、初めてが酔ってるときなんて嫌でしょ? だからまた今度」 「……分かったよ」  あまり納得した様子ではなさそうだが、今日はもうこれ以上しないと宣言するようにゆっくりと手を離していく。  まだ少し眠そうな表情で俺の顔をじっと眺めてきたかと思うと、突然口を開いた。

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