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秘密の味26
「で、今飲んでる酒の味はどうなんだ?」
「っ……」
素面でも問いそうなことに咄嗟に言葉が出てこなかった。動揺が顔にも出ている気がしてしょうがない。
どうせ考えても見抜かれるだろうと思い、正直に話す。
「美味しいかどうかよく分かんない。どんな風にすればいいの?」
「とりあえず飲め」
「え……うん……」
残っていたウイスキーを一口飲んでみる。だが、結局よく分からない。
「俺にも飲ませろ」
「カナさんは今日はダメ。さっき大変だったでしょ」
「もう大丈夫」
「眠そうなくせに。そんなに飲みたいなら自力で起き上がってみてよ」
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