111 / 214

秘密の味28

 だんだん上機嫌になっていく金森さん。饒舌なのがその証拠だ。 「じゃあ今度、一緒に飲みながら教えてよ」 「今じゃダメか?」 「だってカナさん飲み過ぎで倒れてた」 「いや、俺が飲まなくても教えるの」 「それじゃあ飲みながらじゃないよ」  俺は残っていた中身を全て飲み干してこの人を見つめる。少し量が多かったようで、身体の中が一気に熱くなってきた。  それを見ていた金森さんは余計に不機嫌になっていく。 「……んな山本みたいに飲みやがって」 「手を出しそうなものはとっとと片付けたかったので。それに……」  俺は完全に空になったコップをソファの隙間に置き、空いた両手でこの人にべったりと触れる。 「それに、早くこうしたかったから」 「っ……」

ともだちにシェアしよう!