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秘密の味34
これ以上反抗したら何を言われるか分からないので、大人しく従って着替えの置いてある方へと向かった。自分の家なのにこんな思いをするのは少々不思議な気分だ。
一式手にして洗面所へと向かうと、使った痕跡がほぼ見られない光景が目に入った。朝日が差し込むその場所は、湿ったバスタオル以外何も変わっていない。
律儀だな、と微笑みながら着ていたものを全て洗濯機へと放り込む。
そうして浴室へと入ると、丁寧に掃除までされていた。思わずニヤケが止まらなくなってしまうその顔で、俺はシャワーを浴びた。
結構神経質なところがある金森さんは、たまに俺の家を勝手に掃除してしまうことがある。そして自分の使った痕跡を残さないように、使ったところも掃除している。
俺は別にいい、と何度か言ったことがあるが、そうしないと気が済まないとはっきり言われたときにありがたくやってもらうことにした。
最近は、いつまでもちゃっかりしているのも申し訳ないと思い、俺自身も少しはどうにかしているところもある。
それでも、こうして先に使われてしまったら何もしようがないが。
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