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秘密の味35

 そんなことを考えているうちに、洗い終えてしまった。水気をある程度拭き取ってから浴室を後にし、洗面所へと戻る。  新しいバスタオルを使うのももったいない気がし、使われたバスタオルで身体を拭う。  水気を拭き取ったところで衣服を纏い、鏡の前に立って髪の毛を乾かす。  正直こういったことは手間であるが、髪の毛だけはしっかり乾かさないと鳥の巣のような頭になってしまうのでこれだけは怠らない。  それが意外だったようで、最初この光景を見たときには盛大に笑われた。だがそれも一度きりのことで、今では忘れているときに声掛けをしてくれるくらいにまでなった。  金森さんは意外に世話焼きだな、という印象が最近思うようになってきた。俺のことを想って言ってくれていると考えると、嬉しさしか湧いてこなかった。  それが顔に出ていたようで、鏡に映ったその姿を見て我に返った。  髪の毛が完全に乾いたところを確認しながら、平常心を取り戻していく。見た目は問題なさそうだ。

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