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いつかのさけ8
「はい。今めっちゃ幸せな気分です。悔いがあるとすれば、もっと早く来ればよかったこと、ですかね」
「あはは。そんなこと気にすんなって。ほら、もっと楽しめよ。酒もなくなってきたな。何か飲んでみたいのあるか?」
岡崎からメニューを渡され、パラパラと捲っていく。
それと同時に、岡崎は店員を呼ぶ。
まだ全然決まっていないようで、急に桂木が急ぎながらメニューを見る。だが、達筆とも言えるその字はすぐ理解するには難しいものだった。
「お決まりですか?」
「え、えーっと……。あ、これください。徳利で二合、お猪口は四つで」
「……不動ですね。その他のご注文はよろしいですか?」
ふぅ、と酒の注文を終えて安心しきった桂木は、くたりと背を寄りかからせていた。
そして気付かぬうちに、片倉と若松が追加で食べ物を注文していたことに全く気付いていなかった。
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