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いつかのさけ9

 店員が去っていくと、ようやく桂木に元気が戻ってきたようで再びテーブルに向かった。  サーモンのサラダの存在に気付き、誰も手を付けていないと思われる皿へ手を伸ばす。トングで適量を取ると、再び置いてあった場所へ戻す。  塩だれのようなドレッシングが掛けられており、とろりとした液体が掛かっている。  野菜とサーモンが一緒に口の中へと運ばれていく。シャキシャキと音を立てて砕かれていき、ゴクリと桂木は飲み込む。  そして箸を休めることなく、取った分をすぐに完食してしまった。 「……美味い、のか?」 「これもいい。お前も食べろよ」  若松もサラダに手を伸ばすと、今度は片倉も取っていく。  最後に残った分は岡崎が全て取ったため、皿は空になった。  桂木に促されて先に食べていた若松。元々無口であった彼であったが、それが余計に加速した。

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