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いつかのさけ10
「あ、俺あんまりサラダ好きじゃないんですけど、これはいいですね」
片倉がやけに笑顔でそう言い、酒を飲みつつサラダを食べ進めていく。
先に食べ終えた桂木は、再び刺し身に手を付けていた。帆立の刺し身を取り、醤油と少しのわさびを付けて口へと運んでいく。
蕩けそうな表情をしたまま、最初の一杯であった酒を全て飲み干してしまった。
余韻を味わいながら、次に何を食べようかと考え始めた。
「桂木、すぐ来ると思うから安心しろよ」
「安心って。そこまで不安になってないっすよ。どれも美味しくて迷ってただけっす」
「そうか? ならよかった」
「岡崎さん、本当にセンスいいっすね。最高っす」
まだ始まったばかりだというのに、桂木の表情は満足したといった笑顔であった。
それにつられて岡崎も同じような笑顔を向ける。
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