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いつかのさけ12

「すいません、後で注文お願いします」 「今でも大丈夫ですよ」  店員が隣の空いているテーブルに空になった皿を置くと、注文を取るためにメモに持ち替えた。  すると片倉は矢継ぎ早に注文していく。 「王禄(おうろく)をグラスでロックと、梅酒のロックをグラスでお願いします」 「あと明太コロッケと、なす焼き、なめろうを二つずつ……」 「……かしこまりました。失礼致します」  あっという間に店員は去っていった。 「おい若松。お前、頼みすぎじゃねーか?」  注文の多さに桂木は思わず心配になり、そう口走っていた。  しかし、若松からは何の感情も見えてこない。 「……食べたりない」 「気にしないでいいぞ。俺も食べたりないからな」

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