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いつかのさけ13
何も気にしていない様子の岡崎は、熱々の唐揚げに真っ先に箸を伸ばし、付いてきたおろしポン酢を少し付けて食べた。
それでも桂木は少々心配しつつ、岡崎の分の酒を注いだ。
自分の分も入れたところで、岡崎と同じように唐揚げを口にする。
半分齧ると、中から白い身が見える。さっぱりとした風味が酒をぐいっと進ませる。柔らかい酒の味が口を包むと、新たなものを欲するようになっていく。
桂木は不思議といつもよりあらゆるものを求めていた。
食べかけの唐揚げの残りを口にする。だが、噛んだ途端に鋭いものが彼の口腔を攻撃した。
何事かと思い慎重に取り出してみると、それはクエの骨であった。
「……大丈夫?」
「あ、あぁ。油断してた」
「魚だから一応骨はあるからな。気を付けろ」
「はい」
他にも何本か残っていたようで、取り出しながらゆっくりと食べていった。
それに気を取られていると、片倉と若松が新たに来たものをどんどん食べていく。酒から食べ物、全てを一通り口にしていた。
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