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いつかのさけ16
「そうだな……。俺もまだまだそこまで詳しくないからあまり言えたもんじゃないが、とにかく自分で味わってみることが大事だな。自分が美味いって思うものは、誰かに共有したくなることあるだろ?」
「確かにそうっすね」
「俺はそれを日本酒で繰り返していっただけだ。今飲んでる不動の味はどうだ?」
「うーん……。後味がさっぱりしてて、他のものが食べたくなりますね」
そう言いながら、桂木はテーブルにある食べ物を一口ずつ小皿に乗せていき、あん肝を真っ先に口へ運んでいた。
口の中のものがなくなると、再び酒を口にする。
「結構センスあるな。そんな感じでどんどん味わうといいぞ」
「お酒はあんまり飲み過ぎると気持ち悪くなりますって」
「そんなこと言って、お前サークル時代たくさん飲んでただろ」
二人は再び息を合わせたように笑っていた。
そうしているうちに再び店員がやって来たが、片倉と若松の二人で対応していた。再び新たな注文をしていたが、二人だけで頼むのはどうかと思ったのか、片倉が声を掛ける。
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