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いつかのさけ18

 横から片倉が割り込んできてその二品を二人の方に差し出してきた。  なすは焼き立てのようで、湯気が出ている。  その光景に、桂木の手はすっと伸びていき、すぐにかぶり付いた。半分に切られたなすはしっかりと焼けており、柔らかい感触はすぐに桂木の歯によって簡単に切れてしまった。  口の中に広がる熱を冷ましながら、その味を堪能する。今までの魚とは違った味わいに、酒もどんどん進んでいるようだ。  半分程度食べたところで酒もなくなってしまい、再び注ごうとした。同時に岡崎もなくなったようで、桂木が手を伸ばしたところで手がぶつかりそうになった。 「岡崎さんどうぞ。俺ばっかり飲んでる気がするんで」 「そうか。ありがとな」  手で差し出すようにして桂木は譲る。  岡崎のその手は桂木よりも慣れた様子で注いでおり、彼はその姿をじっと見ていた。  お猪口に並々と注がれたところで、徳利をくいっと上にする。すると、無意識のうちに桂木の首も同じような動きをしていたようだ。  その姿を他の三人は眺めていたようで、クスクスと笑って視線を逸らしていた。 「な、何すか。変なことしました?」

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