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いつかのさけ19

「桂木……。俺の手の動きと同じ動きしてた……ははっ!」 「えっ……」  自分の行為が思い出せないでいたが、想像しただけで急に恥ずかしくなったようで、一気に顔が赤くなっていった。  そんな姿に、さらに笑う三人。岡崎と片倉は、堪えていた声が盛大に漏れていた。  余計に恥ずかしさが増していく桂木だったが、ずっと笑っている二人にそろそろ限界が来たようだった。 「お前ら……いい加減に……」  言い掛けているところで、最初に岡崎がその様子に気付いた。ピタリと笑いと止めると、片倉と若松の方を向いていた。 「ほら、桂木が怒ってるからそれくらいにしておけ」  ようやく二人の笑いが収まったところで、徐々に桂木も静まっていった。  冷静になったところで、自分は何をやっていたのか、と少々反省しながらちびちびと酒を口にする。  落ち込んだせいか、急に酒の味が薄くなったように感じたのか、怪訝な表情を浮かべながらグラスを眺める。  再び口にしてもそれは変わらなかった。

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