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いつかのさけ23

「味噌……美味そう……」 「片倉、若松、酒は残ってるか? ないなら早いうちに頼んでおけよ……」  冷静を装いつつも、内心は鍋が早くできないか待ち遠しい様子であった。  飲み食いしていた手が完全に止まり、じっと鍋を眺める男四人。その様子はまるで何か実験をしている様子であった。  その横を店員が何事もないように通っていく。  片倉はその存在に気付いたようで、呼び止めて若松の分の注文もしていた。  そして店員が去っていくと再び視線を戻す。 「皆さん……俺たち、だいぶ怪しい集団になってますよ」 「えっ、あっ……。いやー、あまりにも美味そうだからつい」 「これで追い出されないといいですね」 「まぁ、大丈夫だろ」 「岡崎さんの言う通り、大丈夫だろ。別に人に迷惑掛けてるわけじゃないし」

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