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いつかのさけ25

 片倉はお玉を手に取り、そっと沈めるように混ぜていく。味噌があっという間に溶けていき、汁が味噌の色になっていく。  それに浸っていくあんこうや野菜も、徐々に火が通って色が変わる。  手際のよさに再び胃が刺激され、じっと視線を離せないでいた。早く、その一口を味わいたい。ただその一心であった。  これでよし、と鍋からそっとお玉が離れていき、再びじっくりと火を通していく。  そして完全に色が変わったことを確認して片倉がコンロの火を止める。 「もう大丈夫そうですね」  若松が片倉にそっと器を差し出し、盛り付けるように軽く圧力を掛ける。  自分が鍋に最初に手を付けたので、と了解した様子で再びお玉を手に取ると、バランスと見た目を両方重視しながらよそっていく。最も年下ということもあり、率先してやっていたと想像できる。  最後に汁を適量入れると、それを岡崎に渡す。

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