165 / 214

いつかのさけ39

 鍋と鍋の中身を入れていた器と箸以外の全ての空になっていた器を下げ、テーブルの上はすっきりした様子であった。  若松以外の三人は、ちびちびと残った酒を飲んでいた。だいぶ満足したようで、上機嫌になっていた。 「片倉と若松はだいぶ席外してたみたいだけど、美味かったか?」 「はい。シメもどんな感じなのかすごい楽しみですね」 「今日も、最高でした」 「桂木は今日初めてだったが、酒の味含めてどうだった?」 「酒も!? そりゃ、後悔するくらい最高。それだけっすよ」  そんな調子で再び会話が盛り上がっていた。  桂木を見つめる岡崎の視線、それに気付かずにじっと見つめる桂木の視線。それぞれ特別な想いをは持っていたが、それに気付いているのは他人事として見ている片倉と若松だけであった。

ともだちにシェアしよう!