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ロマンティック・プランク17

 ようやく我に返った杏里。夢中になって食べていくその姿は、柊を一切視界に入れようとしていなかった。  きっと視線を合わせづらいのであろう、と悟った柊は、特に気にした様子も見せずにそっと手を伸ばして一緒につまむ。  杏里は先ほどよりも速く食べており、同時に酒もすぐに減っていった。  その様子に気付いた頃には、だいぶ減っていた。思わず手が止まってしまう。  どうしたものかと考えていると、杏里が手に持ったまま柊の方を向いてきた。 「柊さん、これ美味しいよ。食べないの?」 「それじゃ、遠慮なく……」  差し出されたフライを齧る柊。思わぬ行動に喜びつつも、杏里がだいぶ酔っていることを肌で感じていた。  それでも、普段接しているときと同じ状態であるということがまだ救いであったと思えた。 「美味しくなかった……?」 「そんなことないよ。杏里くんに食べさせてもらって嬉しくなったからね」 「よかった」  ニコリと微笑んだその姿に、柊は嬉しさが込み上げてきた。酒に酔ったであろう心配はすっかりなくなり、杏里と同じようにフライを持って差し出す。

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