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ロマンティック・プランク18
「今度は杏里くんにお返し」
そう言われて笑みを崩さないままぱくりと食べる杏里。嬉しさが増したようで、より笑顔が増していく。
これでようやく落ち着いてくれるだろう、と考えていたが、杏里は残っていた酒を全て飲み干してしまった。
気付いたときにはすでに遅く、杏里はグラスを差し出しながら口を開いた。
「もう一杯、同じの飲みたいな」
「……うん、いいよ。でも、あんまり飲み過ぎないでね」
「うんっ!」
今までの陰気な雰囲気とは異なり、無邪気な笑みを向ける杏里。
まだ大丈夫そうだと少しホッとした様子で、同じ酒を頼んだ。
すると突然、柊に杏里の内にあった疑問をを投げ掛けた。
「ねぇ柊さん、急に俺に会いたいって、何かあるの?」
「えっ……」
「今までは事前にいつって約束してたから」
「……嫌、だったかな?」
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