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ロマンティック・プランク19
「ううん、そんなことない。むしろ会えて嬉しいよ。たまに、すぐに会いたいなって思うときもあるもん」
「僕も杏里くんに会いたいなって思うこと、あるよ。次はいつかなって待ち遠しいなって」
優しく語り掛ける柊の姿に、うっとりと視線を向ける杏里。すると、恥ずかしそうに自らの手を柊の手に伸ばしていく。
動かないその手に、ゆっくりと重ねていく。
「そうじゃなくて、その……。柊さんの温もりが、恋しくて……」
「杏里くん……」
驚きの中には素直な杏里の言葉への喜びが含まれている。そんな眼差しを向ける。
酔ってはいるが、まだ意識はありそうだ。そんな確認をしつつ、柊の手のひらを杏里の手のひらに向け、指を絡ませていく。
それに応えるように、杏里の指も握られていく。
そのままゆっくりとテーブルの上から手が降ろされ、ぶらぶらとさせていた。
無言の時間がしばらく続き、ようやく腕を止めたところで、新たな酒が運ばれてきた。
「柊さんはいいの?」
「俺はまだ残ってるから」
「分かった」
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