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ロマンティック・プランク23

 すると、店員が何かを持って二人の前に差し出してきた。  特に注文した記憶がなく、柊は記憶を辿りながら店員に尋ねる。 「あの、こちら注文していませんが?」 「こちらサービスのフォンダンショコラでございます。よろしければ熱いうちにお召し上がりください」 「そうでしたか。それでは遠慮なくいただきます」  二人はグラスを置き、店員に差し出されたフォークを受け取る。  柔らかい生地をフォークで切っていく。切れ目からチョコレートソースがとろりと溢れていき、ゆっくりと皿に広がっていく。 「うわぁ……」  その光景に杏里は感動し、思わず声が漏れる。じっと眺めているうちにも、どんどん溢れていく。  一方の柊は、珍しいその光景に驚きつつもすぐに一口サイズに切っていた。フォークで刺すと、すぐに口へと運んでいく。  温かいソースと絡んだ生地は、程よく苦さを含んでおり、ソースの甘みと絶妙に絡んでいく。  そこまで甘い物を好んでいるわけでもない柊であったが、これであればいくらでも食べられると感じていた。

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