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ロマンティック・プランク30

 杏里が目を覚ますと、慣れないベッドの感覚と見慣れない景色を認識した。  必要最低限の家具が並んだその部屋は、男の一人暮らしのモデルルームのようであった。  自分の部屋はこんなお洒落ではない、ここは一体どこなのか。そんなことを考えていると、自分の格好がいつもと違うことに気付く。  バスローブのような心地よい肌触りの服を、下着を一切纏わないで着ていた。普段の生活上はこんな格好をすることはあり得ない。  どうしてこんなことになっているのか記憶を辿ってみる。  寝る前に会っていたのは、曖昧な関係であった柊だ。突然呼び出されてバーで酒を飲んでいた。  帰り際に、柊から想いの詰まった愛の言葉を向けられた。  そして、一緒にいたいと彼に告げると、彼の家へと連れてこられた。  全てを思い出した杏里は、自分の行動に恥じて一気に耳まで赤くなっていった。  顔を両手で覆いながら数時間前の自分に後悔していると、指先に柔らかい感触がした。

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