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第一章・8

「ぼ、僕は、篠原 蓮です。よろしくお願いします」 「年齢は?」 「18歳です。あと半年で、19歳になります」  そう言うと、巴はくすりと笑った。 「精一杯、大人になりたいお年頃だな」  私は36歳だ、と巴は告げた。  36歳。  蓮には、それがひどく大人に感じられた。 (そして、加賀さんはアルファだな。きっと)  全身から発するオーラが、周囲のだれより輝いて見える。  力強く、圧してくる。 (僕とは、全然違う)  痩せて小さな、貧弱なオメガの僕。  髪はぱさぱさで、爪も薄くて。  だが巴は、そんな蓮に優しい言葉をかけた。 「一目で君が気に入ったよ。とても、魅力的だ」 「み、魅力的……」  そんな風に言ってもらったこと、初めて。  輝いた蓮の瞳に気づいた五木が、明るい声を上げた。 「さあ、撮影を始めよう! ぐずぐずしてると、日が暮れてしまうよ!」  そして、海辺の撮影が始まった。

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