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第五章・6

 大きく胸を上下させる蓮の体を、巴はそっと拭き始めた。 「あ……」 「いいから、そのままで」  汗とローションと、精でまみれた蓮の体。  だが、汚いとは感じなかった。  どんな姿でも、蓮は魅力に満ちていた。 「もう少し経ってから、シャワーを浴びてくるといい」 「……嫌です」 「なぜ?」 「お風呂から出て来て、巴さんが居なくなってたら。僕、寂しいです」 「どうして君の口は、そんなに可愛いことばかり言うんだろうね」  ちゅ、と小さなキスをして、巴は蓮に毛布を掛けた。 「私は、どこにも行かないよ」 「約束してくれますか?」 「ああ。今夜は傍から離れない」  自分の体も清めた後、巴は蓮を抱き寄せた。  腕枕をして、語った。

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