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第五章・7
「君の、両親は?」
「知りません。小さい頃から、施設にいましたから」
「そうか。すまないな、不躾なことを訊いて」
「いいえ。でも、どうして?」
「いや……」
(結婚が視野にちらついた、とは言えない!)
さすがに、早急すぎるだろう。
それに、一度抱かせてもらっただけで、結婚したいとはあまりに思考が浅い。
「撮影は、いつ?」
「14日です」
そうか。
4日後か。
蓮はそのまま、とろとろと眠ってしまったが、巴は目が冴えてしまった。
(蓮が。この体が、男優に抱かれる……!)
それは、仕事だ。
男優だって、好意を持って抱くわけじゃない。
ビジネスなんだ。
「だが、落ち込むなぁ……」
安らかに眠る蓮の顔を見ていると、胸がキリキリと痛む。
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