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第六章・2
「今日は、これからどうしようか」
「え。これから、って?」
実は、仕事を休んでいる、と巴は打ち明けた。
「君との一日を、大切にしたいと思って」
「ありがとうございます……」
セックスをして、はい終わり、では薄情すぎる。
巴はその翌日まで、余韻を味わいたかった。
嬉しい、と涙までぬぐって喜んでいる蓮を、巴は痛ましく思った。
(この子は、本当にいばらの道を歩んできたんだな)
そう考えると、何かやって上げざるを得ない。
巴は、身を乗り出して、明るい声を発した。
「どこか、行きたいところは無いか? ドライブもいいな」
「あの。実は僕……、映画館に行ってみたいです」
「行ったこと、ないのか?」
「はい」
うむ、と巴は考えた。
自分のマンションに行けば、シネマスコープサイズの大型テレビがある。
迫力あるシーンを見たければ、誰にも邪魔されずに済むそちらを選びたいところだ。
しかし……。
「いいだろう。映画館へ、行こう」
「いいんですか!?」
映画館の雰囲気を、蓮に味わわせてあげたい、と巴は考え直したのだ。
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