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第八章・4

「今日一日は連絡するなと、あれほど言っておいたのに」  社の人間かと思いきや、発信は五木だった。 『加賀さん、早くにすみません』 「何かあったのか?」 『大変なことになりました!』  蓮とダブル主演を張っている、大俳優の尾崎 義郎(おざき よしろう)。  高齢だが、子役時代から銀幕を彩っている名優だ。  映画だけでなく、ドラマやミュージック、バラエティ番組でも活躍する、芸能界の大物。 『その尾崎さんが、役を降りたい、って言いだして!』 「何? しかし、もう撮影は始まっているんだろう?」 『それが、代役を立てて取り直して欲しい、と!』  一大事だ。  巴は、知らず知らずのうちに眉根を寄せていた。  それに気づいた蓮が、不安を口にした。 「何かあったんですか?」  これは、蓮に伝えるべきかどうか……。

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