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11.危険な香り※

リューは来るなと言ったけれど、やはり気になった僕はリューの後を追って川の方へと行ってみることにした。程なく川に到着するが、そこにリューの姿はない。 (どこに行ったんだろう?でも、遠くへは行っていないはずだし……) 辺りを見回しながら少し散策すると、近くに洞窟が見えた。そこにいるとは限らないが一応見てみようと側によると、パチパチと、何かが弾ける音がする。静かに中へと進んでいくと、奥に少し開けた空間があった。そこには黒の服が点々と干してあり、黒のシャツだけ纏った黒い影が焚き火の近くで身体を丸めていた。 「リュー?本当に大丈夫?あの変な液体は落ちたみたいだけど……」 僕が声をかけても反応がない。だが、少し側に寄ってみると荒い息遣いが聞こえてくる。背中を丸めて何かに耐えるように震えている。 「リュー?聞こえてるか?具合が悪いなら宿に戻った方が……」 「……ぅ……ック……はぁ……」 リューはそれでも返事をしない。仕方なく肩を掴んでこちらへと顔を向かせると、焦点の定まらない表情をしたリューが唇を震わせた。 「……るな、だから……」 「こんな時まで意地を張っている場合じゃないだろう?助けを呼ばないと……」 「だから、触る……な…、んっ……」 触れただけなのに、何故かリューから艶めかしい声が漏れた。そう言えば、視線がぼやっとしているし、力がない。それに、僅かだが漂うこの香り。さっきもどこかで嗅いだことがあると思っていたのだが―― 「もしかして、これ、媚薬?」 「……」 リューは吐息を逃すばかりで答えない。だが、よくよく見れば顔が赤らんでいるし、瞳も潤んでいるみたいだ。必死に耐えているように見えるが、強力な媚薬なのか身体が熱の捌け口を求めて小刻みに震えている。 「あの魔物、アフロディジア、だ。油断した……暫く休めば、熱が抜けるはず。お前は、宿へ帰れ」 「アフロディジアって……媚薬(アフロディジア)。そういうこと?うぇー……最後まで悪趣味すぎる。リュー、それで僕から離れて行った訳?」 自分がこんな状態だというのに、またコイツは無理矢理に我慢しようとしている。今までそれが良くないのだと、何度も伝えてきたと言うのに。 (ギルド長が言いたかったのは、こういうことか。全く……人が悪い) 全てを察した僕は、リューの頬に優しく手を当てる。自分の頬より僕の手が冷たいせいか、リューはすがるように目を閉じて、気持ち良い、と呟いた。 「大丈夫、誰も見てない。早く戻って報告したいんだろう?だったら、僕が手伝ってあげるから。そのためのバディだし」 「……」 「こんな辛そうなリューを置いて行ける訳ないし、誰かに見せるのも何か癪だしね。どうせなら、俺だけが見て愉しみたい」 「お前……」 少しだけ目を開けたリューがジッとこちらを見上げている。その視線が助けを乞うように見えて、僕は人助けという名目を持って触れられることに、自然と笑んだ。 リューは結局これ以上、僕に帰れとは言わなかった。 +++ まずはリューの側に腰掛けて、リューの頭を僕の膝の上へと乗せる。もう一度頬を撫でて、指を滑らせると、リューの口に僕の指先を近づける。 「リュー。声聞かれたくないなら、指舐めて?」 リューは指示された通りに口を開いて僕の指を咥え、素直に指に舌先を這わせてペロペロと舐め始めた。 「ふふ……素直で良い子。じゃあ、僕は熱を逃してあげるためにリューを触るからね?発散させた方がきっと早く抜けるから。リューも遠慮せずに感じること」 開いている手でリューの身体に手を伸ばす。シャツの上からでもすでに胸の突起は尖っていて、くっきりと形を浮かび上がらせていた。 「あぁ、これは辛そうだ。ここまできたらもっと感じた方がいいんじゃない?」 僕が少し触れるだけで、くぐもった声が漏れる。ピンと指先で弾くと、目を瞑ってやり過ごそうとする。必死に指を咥えて声を押し殺しているのが、堪らなく僕の興奮を煽る。 「イイね。リュー、気持ちいいの?」 僕の問いかけには答えずに、また縋るように指を舐め始める。そんなに指がお気に召したのだろうか?今度は口の中を探るように指を動かしてみる。 「…っぐ、……ぅ……」 「口の中も熱いね?ねぇ、指を僕だと思ってしゃぶって?」 胡乱げな目でこちらを見上げてくるが、熱が勝るのかリューは遠慮がちに指に吸い付いて顔を動かし始めた。チュパ、チュパ、と吸う様子は、性器を咥えているように見えて。僕も見ているだけで、妙な気分になってくる。 「ん、ちょっと細いけど、動きはそれっぽい。僕の見て勉強してたの?リューもやればできるじゃない」 「……るさい」 珍しく声を出して抗議するが、やはりまだ表情も反応もいつものリューとは程遠い。それでも必死なリューを見ていると、とことん可愛がってあげたくなる。 「あぁ、いいね。よく出来ました。それじゃあ、リュー。一旦起きて服、脱いじゃおうか?擦れるのも辛いだろうから、直接触ってあげる」 名残惜しそうに僕の指を口から放すと、何とか起き上がって自分の服に手をかける。バサリと脱いでしまうと、これでいいか?と裸体を顕にして問うてきた。シャツ1枚しか着ていないことは、干してあるから知っていたのだが、僕は脱いでいないのに対して、リューは全裸なので、余計に僕の方が変に期待が膨らんでしまった。

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