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17.処理の一環※

まだ完全に覚醒していなさそうなリューは、適当に身体を拭きながらこちらにやってくる。僕のことは視界に入っているようで、目線を落としてきた。 「リュー、ちゃんと洗ったのか?」 「……あぁ」 「本当に?」 「そんなに疑われても困るのだが」 面倒臭いと視線で訴えられたが1つ気になることがあったので、僕も立ち上がってリューの腕を掴む。 「いや、絶対に洗ってないだろう?ナカまで」 「中?」 目を細め意味が分からないという顔を向けてくるが、僕は怯まず掴んだ腕はそのままに、もう片方の手で素早く巻かれたタオルを捲り、臀部へと指を滑らせる。そして抵抗される前に窄まる後孔へ指先を差し入れた。 「お前、どこに手を入れて……っ」 「ちゃんと洗っておかないと、場合によっては腹を壊すこともあるからな。掻き出しておかないと」 「だからといって、ここで始めるのは…やめ…ろ」 「いや、だって逃げそうだし」 風呂上がりのせいなのか、媚薬がまだ残っているのかは分からないが、リューの反応が早すぎる。まだ中指の第2間接を埋めただけで動かしてもいないのに、眉間に皺を寄せて息を逃している。 「まだ大したことはしてないのに……それに嘘ではなく処理は大切だ」 「……」 リューは顔だけで振り返り、顎で先程までいたシャワールームを差した。床を汚したくないのはいつものことだ。一旦リューを解放し、僕もバスローブを脱ぎ去る。床にそのまま落として、リューのタオルも剥ぎ取ってしまう。僕がまた腕を掴むと、流されるようにシャワールームへと雪崩れ込む。 「リュー、壁に手をついて尻をこちらに向けて突き出せ」 リューは苦い表情そのままにため息を吐いて、大人しく言う通りの体勢になる。両肘を壁に当て少しだけ尻を浮かせている姿は嫌がる様子と共に扇状的で、自然と喉が鳴る。なるべく平静を装って、まずは予告した通りに指で後孔を撫でる。 「……ぅ」 「――誘うなって。もっと違うことをしたくなる」 僕の指が本格的にナカへ進んでいくと、はぁっ、という吐息が漏れて、耐えるように額を壁に付けたままリューが声を殺していた。僕が指を進めていくたびにリューのナカはうねって僕の指を締め付けてくる。何故かやたらと感度が良く、悪戯心で擽るように壁を引っ掻くと腰が跳ねて雄弁にリューの気持ちを伝えてくる。 「もしかして……大丈夫なフリをしてたのか?本当は熱くて堪らなかった……?」 「余計な詮索は、しなくていい。早く、終わらせ……ッ…」 「ほら、また跳ねた。残滓がそんなに悪さをしてるのか?一晩眠らせておくとか、どういう耐え方をしたらそうなるのやら……」 「…ぅ、……ぁ……」 ナカを丁寧に探っていき、頃合いを見計らって指を増やして広げていく。指と指とで出入り口を広げてやると綻んできた後孔から、トロ、と、熱く粘着質な精液が流れ落ちた。 「……これで、いいだろう?」 熱い吐息を逃していたリューが吐息の合間に呟いたのは耳に届いたが、指をゆっくりと引き抜いた僕は本能のままに、滾った杭を指の代わりにリューの中へと打ち込んだ。 「……っく、ぅ!?」 「ナカに、出さないから……」 耳に噛みついて、背後からリューに襲いかかる僕は、獣のようにリューを侵食し、無遠慮に抉って腰を押し付ける。同じ体勢のままのリューは、逃れたくとも逃れられずに、一方的に蹂躙されて身体を壁に押し付けられている。 「はな、れろ……っ、ぁ、……うぅっ…」 「後で、言いたいことは聞くから……っ、あぁぁ!あぁ……リュー……」 肩に歯型を残すほどに噛みついて、全てを耐えようとするリューに声をあげさせようとするけれど、代わりにギリ、という歯ぎしりの音がして、喘ぎ声を殺して逃れようとする。悪かったと思い、ペロリと赤くなった肩を舐めると、僕を引き剥がそうとリューが両腕に力を込めて壁から離れようとする。 「そこまで、頼んでいないだろう……がっ……」 「リューが誘うから、リューが悪い…って!」 「ふざけるのも、大概に……」 「ふざけてない…っ…真剣、だから。リューのことが知りたくて、真剣だから……」 ムキになるリューを見ていると、自分も妙にムキになってしまって。 もっと、もっと、と。力を込めてリューに抱きついて最奥に思い切り自身を打ち付ける。 「…っぁ!…ア……」 「だから、拒否するな、って……僕も、良く…分からない、が……」 「……アル、ヴァーノ……」 僕の名を呼ぶと、リューの身体から力が抜けた。長く息を吐き出すと、ゆっくりと首を回して僕の方へと振り返る。 「……分かった。だが、このままでは……キツイ、から。どうにか…してくれ」 「え?あ……あはは……」 僕は情動のままにリューに襲いかかってしまったものの、抱きついてしまったので自身を埋めたままリューに擦りつけていたままだった。生殺しのような状態で動きを止めてしまったせいで、リューも半端に煽られてしまったらしい。目の端に何となく情欲のような、困惑した感情が見えた気がした。

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