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18.攻守逆転※

視線で何かを訴えてくるリューに、僕も顔がつい綻んでしまう。所詮は人の子。煽られればそこまで無感情ではいられないのかもしれない。 「じゃあ……改めて、遠慮なく」 僕は宣言すると、動きを再開させた。リューは抵抗せずに僕のことを受け入れてはいるが、下を向いて相変わらず声は出さないようにと、呼吸を浅くして対応している。 「……ハッ……ッ……」 「……何か、激しい運動をしているみたいな?いや、間違ってはいない、けど……こういう反応は初めてだから、ちょっとやりづらい……」 「俺に、何を…期待している……んだ…」 「期待って……それは、期待するだろう?リューの、喘ぎ声」 乾いた音が妙に規則正しくシャワールームに反響し、後は荒い息遣いだけが僅かに漏れ出している。リューは自分の身体をしっかりと両腕で支えているが、僕が突くたびに身体が震えて、与えられる快楽に反抗して必死に理性を保とうとしているのが分かる。 「そんなに無理して、耐えなくても……僕、そんなに下手だったか?」 「……比べる対象が、ないから…答えようが、ない……ぁ、っく…」 「そうか。じゃあ、やっぱり僕が初めてって、こと?」 「……ここまで、されたのは……ッ――」 (ここまで?ここまでって……どういうことだ?) 疑問が頭を掠めたが、リューが急に締め付けてきたので霧散してしまう。 とりあえず1回最後までいってしまおうと、ズル、と自身を半分以上抜き出してから、一気に最奥まで打ち付けた。 「……ッっ!!」 「今のは、効いたみたい、だな?」 「ぁ…ぁ……」 「じゃあ、もう1回……」 同じように抜き出して、同じように勢い良く突いてやると、リューの方から少しだけ上擦ったような声が聞こえてくる。何度も、何度も、繰り返していくと、ポタ、ポタ、と。リューから流れ落ちた汗が、床に落ちていくのが見えた。 「ぁっ、ア…あぁ……」 「もしかして、激しい方が好きなのか?」 「いい、から…早く、終わらせてくれ……」 「フフ……分かった」 僕もそろそろ耐えられなくなってきたし、リューの首筋にキツく吸い付いて、さらに激しく腰を打ち付け、己の衝動をリューにぶつけていく。 「ック、あぁ……今度は、抜かないと、ね……っ!」 「……ぁっ…」 リューが僕を離さないようにとナカで締め付けてくるが、誘惑に負けずに無理矢理自身を引き出して、リューの尻と背中に白濁をぶちまけていく。 堪えきれなかったのか、リュー自身も透明な露を零して、フルフルと震えていた。 「はぁ……あれ?イったのは、僕だけ……?」 「……背中が、熱い……お前…またシャワーを浴びる羽目に……」 「ナカ出ししなかったことを、褒めてもらいたいものだな」 「……散々、好き勝手しておいて……」 リューはコックを捻り、頭からシャワーを浴び始めた。僕もどうしようかと身体を起こすと、リューが前髪を掻き上げて僕を見据える。その視線は鋭い中にも違う感情があって、見つめていると金縛りにあったように動けない。 「……お前の好きにさせてやったのだから、今度は俺が好きにしても構わない、ということだな?」 「え……リュー?な、何言って……」 圧に耐えきれずに後ずさりする僕の腕を、今度はリューが掴んで力を込めてくる。 グッと僕の身体を引き寄せると、僕の身体を壁に押し付けて、片腕を背中に固定させて動けなくさせてくる。 「い、痛いって!」 「煩い。お前も尻を突き出せ。得意なのだろう?」 「え……本気?」 圧で息苦しいのか、抑えつけられているせいで苦しいのか。両方なのかもしれないが、仕方なく言う通りに尻を突き出すと、乱暴に僕の尻を掴んでリューが勢いよく僕のナカに挿入ってきた。 「あぁぁぁっ!?」 「……っ、これで、攻守逆転、だな」 「きゅ、急に一気に突き入れる、とか……あぁっ、も、酷くない…?」 「先程は、従ってやったのだから。今度は、お前も同じ目に合うといい」 そう言うと、リューはガンガンと僕のナカをかき乱すように、力強く律動する。先程までの興奮が蘇ってきて、僕は涙を流しながらすっかりとリューにやられてしまっている。 「んぁぁっ!ぁっ、もう……強い、強い…ってぇ……」 「したことないから、加減が良く、分からないな……」 「コレ、僕じゃなかったら……こんな風に、受け流せないっ、からな?」 「流石、得意な人は違うな?」 僕がしたように、肩に歯型を残すように噛みついてくるところとか。本当に我慢していたのだろうか?それでも、リューがここまでしてくれることが嬉しいと思ってしまう自分に妙に笑ってしまった。 「……余裕そうだな?」 「僕を、誰だと思っている?もっと激しいこともしたことあるから、リューは優しい方だ。だけど……腕は痛いから、離してもらえると助かりますが?」 「あぁ……分かった」 リューは羽交い締めしていた腕を開放して、僕の腕を壁へと触れさせる。先程と全く同じ体勢にさせられたところで、リューが奥を穿ってきた。 「んぁっ!あぁぁっ!!」 「……こういう声を出せと、言いたかったのか?」 「……だって、その方が、盛り上がるし?ねぇ、リュー。リューもいつもより、饒舌だって、知ってた?僕のナカ、気に入ってくれたみたいで、良かった」 僕が首だけで振り返り笑いかけると、リューも微笑して僕を見る。すぐにいつもの無表情に戻ってしまうが、確実に距離感が縮まっているような気がしてならない。 「ほら、動き。止まってるから。僕のことも、良くしてくれるんだろう?」 「俺が動かなくとも、十分良さそうだが。さっさと、終わらせよう」 リューはそう言うと、僕の腰を掴んで、力強く打ち込んでくる。 お互いの身体が何度もぶつかり、ナカで擦れ合い、自然と気分も身体も高揚してくるのが分かる。 「あぁっ!あっ、あっ……リュー、もうそろそろ…イキそう…っ…」 「……」 リューは答えずに、僕と同じようにリュー自身をズルリと引き抜いて、僕がヒクヒクと身体を震わせている隙に、再度一気に最奥へと思い切りよく叩きつけた。 「あ、あぁぁぁっ!!アァっ!!」 「……ック」 僕の締め付けの方が強かったせいか、リューはそのまま僕のナカで果ててしまった。 最後にグリ、と自身を押し付けてから、ゆっくり僕のナカから引きずり出していく。 「……お前は、自分で処理、できるだろう?」 「は、ははは……ヤリ逃げ?なかなか鬼畜……」 リューは自分の身体はサッと流してしまうと、僕の顔に思い切りシャワーを浴びせかけてくる。 「っぷ!ちょ、さっき整えてたばっかり、だったのに!」 「流してやったんだから、何とかできるだろう?……アリィ」 扉に手をかけて、また言い捨てると少しだけ楽しそうな顔をして先に出ていってしまった。 (だから、何でそういう時だけ!不器用なのに計算してるのかあの男は!) 僕は頭を掻きむしり、諦めて最初からシャワーを浴び直す羽目になった。

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