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38.頭痛と共に
翌朝――
僕の目覚めは最悪だった。頭がガンガンする。
(二日酔いとか……いつぶりだろう……)
予想通りの深酒をしたことまでは覚えているのだが、そこからどうやってベッドにいったのかが曖昧だ。
(おかしい、自分でベッドに行った記憶はないから……もしかしてリューが?)
痛む頭に手をあてながら窓際に近づく。ブラインドから覗く感じだと今は昼くらいだろうか?
「頭痛薬、あったかな……」
情けないが、仕方ない。自業自得だ。フラフラとベッドルームを出る。
薬棚に頭痛薬が置いてあったはずだ。僕がベッドルームから出ると同時に、バスルームの方からリューが出てきた。
「……起きたのか」
「一応ね。頭が痛くて、今、薬を飲みにきたところ。リューは……いつもの鍛錬してたのか」
「あぁ」
「そういえば、リューが僕のこと運んだのか?ベッドに寝た記憶がないからさ」
苦笑しながら尋ねると、リューがタオルで頭を拭きながら無言でこちらに近寄ってきた。
「お前……昨日のこと、何も覚えていないのか?」
「昨日のことって……飲んだ後のこと?あぁ……ごめん。もしかして何か変なことでも言ってた?身体の感じから襲いかかったってことはなさそうだけど」
「覚えていないのなら、いい」
リューは何かを考え込んでいるみたいだった。僕は何を言ったんだろうか?
あんなに深酒してしまったのは久しぶりで、普段は飲まれることもないのだけれど……。
(でも、酒を飲む前に考えていたことがアレだし。もしかして、口に出したのか?だとしたら……)
格好悪すぎる。分かってやるのならば常套手段だが、そうではないのなら絡み酒じゃないか。ますます頭が痛くなってくる気がしてフラリとすると、リューが僕の身体を受け止めてくれた。
「そんなに体調が悪いなら無理をするな。薬を飲んだら休んでおけ」
「心配してくれてるのか?ありがとう」
「暫く休暇だと言ったのはお前だ」
「それはそうか。リューはお金を無駄遣いしないからまだ余裕があるし。呼び出されるまでは暇しててもいいだろう」
「そこまで休むと身体がなまりそうだ」
リューは一言冗談のように言うと、俺の身体を補助したままソファーへと座らせた。風呂上がりのリューは大体シャツしか羽織っていないので、いつもだったらちょっかいを出すところだけれどその元気すら頭痛に負ける。
(リューが看病でもしてくれたら……ちょっと嬉しいかもしれないな)
想像して笑っていると、リューが水の入ったグラスと薬の瓶を持って僕の目の前へと置いた。薬の準備はしてくれたらしい。
「ありがとう、リュー」
「いいからさっさと飲んで寝ておけ」
「そうするよ。リューも一緒に寝る?」
「……」
無言で睨まれた。これがリューだよな、と再確認していたが、リューがふいに踵を返して部屋へと消える。
(あの部屋、本くらいしか置いてなかったはずだが……)
俺の予想が当たって、リューが何冊かの本を持って戻ってきた。僕の視線に気付くとリューが口を開く。
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