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46.まずは身体を温めてから<リュー→アリィSide>

「火を、付けないと……」  幸い薪は部屋の隅に潤沢にある。  側に火の魔石と火かき棒も置いてあった。  どうやらなんとかなりそうだ。  震える手で魔石と魔石をカチンと合わせて火花を散らす。  組んだ薪に火を付けると、漸く暖かくなってきた。 「濡れた服を乾かして、毛布を……」  残った気力で奥の部屋から毛布を引っ張り出してくる。  落ち着いたらベッドで休んだ方がいいだろうが、まずは体温を上げる必要がある。  アルヴァーノの側に座り、装備を剥いでいく。 「体温があがってくれば……」  アルヴァーノの身体はまだ冷たいが、かろうじて心臓は動いている。  どうやら間に合ったようだ。  この小屋の周りは簡素だが一応魔物避けの結界が張られていたことを確認したから、ここで暫く休めば大丈夫だろう。  迷ったが面倒なので全て剥いでしまい、濡れた服はそこらに転がしておく。  自分も全て脱いでしまうと持ってきた毛布を床に敷いてアルヴァーノを転がす。  毛布をかぶってから、アルヴァーノにピタリと身体を寄せた。  そのうちに体温が上昇してきたのが分かり、安堵感からか自分も眠気に誘われる。 「何とかなったか……」  正直、途中から意識が朦朧としていたがこの状況は幻ではなく、確実に体温を感じる。  身体が勝手に動いてくれたのが幸いだった。 +++  パチパチという音が遠くに聞こえる。  ここは何処なのだろうか?  毛のような感触と、触れ合っている人肌。  ゆっくりと目を開けると、僕に寄り添って眠っているらしいリューが見えた。  僕を温めるようにしっかりと抱きしめてくれていた。  吐息を感じるので、リューも生きているようだ。 「ここは……小屋? そうか、避難小屋……」  身体が怠いので視線だけでなんとなく確認してみる。  床の感じは硬いが、暖炉の側で温めようとしたのか床に毛布を敷いてからここで眠っていたらしい。  あそこから一人で、意識をなくしてしまった僕を運んできたのだろう。 (相変わらず無茶苦茶だけど、リューがいなかったら死んでいただろうな。リューは本当に凄い)  僕はホッと息を吐く。  意識がなくなった時は死を覚悟していたけれど、リューが必死に助けてくれたんだろうと思ったら嬉しさと安堵で何だか泣きたくなってきた。 「リュー……ありがとう。リューのおかげで、今、凄く温かい……」  両腕を伸ばして自分からもリューに抱きつく。  すると、身動いだリューがゆっくりと目を開ける。 「アリィ? 目が、覚めたのか」 「うん。リューのおかげで……って。リュー?」  リューが強い力で僕をしっかりと抱きしめる。  しかも、少しだけ身体が震えている気がする。 「リュー? どうした?」 「……良かった。お前が、生きていて……」 「心配してくれたのか。あぁ、リューのおかげで。命の恩人だよ、リューは」  リューの背を撫でてやると、リューが目を見開いた後に静かに目を伏せる。  そのまま僕の肩に顔を擦りつけた。

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