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47.自然と溢れてくるモノ

「どうした? 大丈夫?」 「……」  リューが小刻みに身体を震わせたかと思うと、何も喋らなくなった。  それはいつものことだから気にしてはいないけれど、僕の肩が温かいもので湿って……。 (え、まさか、僕が泣く前に泣いている?)  慌ててリューの肩を掴んで少し身体から離すと、確かにリューの両目から涙が流れていた。  しかも、ボロボロと泣いているみたいだ。 「待って、僕が泣く前に泣いて……」 「分からない……が、急に目頭が熱くなって、止まらなくなって……」  次々と溢れてくる涙に僕の方が動揺していたのだけれど、何だかもらい泣きしてしまって僕の目からも涙が流れてきた。 「さ、先に泣くなよ……何か、つられる……」 「悪い……だが、止まらなくて、こんなことは、初めてだ。どうすればいいか……どうしたらいい?」 「どうもしなくても、そのまま泣いていていいよ? 別に止めなくても、いいから。僕に何かあったらって、思ってくれたとか?」 「……それは」  困った顔をして目を伏せているが、相変わらず涙は止まらない。  どうやら本当に心配してくれていたようだ。  あんなに無関心だったのに、僕のことを気にしてくれていたことが凄く嬉しかった。 「何となくでも、なんでもいい。そう思ってくれたのなら、嬉しい」 「良く分からない、分からない……が、お前をこんなところで死なせたくなかった。俺はいつ死んでも別に構わないが、お前は……」  とんでもないことを言うので、その口を塞ぐようにキスをした。  リューは困惑したままだったが、抵抗はしてこない。  唇を離して、リューの瞳を真っ直ぐに見つめる。 「そんなこと、言うなよ。リューが死んだら困る。僕も、たぶんギルド長も」 「アリィ……」 「リューがそう思ってくれたのと同じように、それ以上に、リューも生きてくれないと困る」  甘えるようにギュッとリューに抱きつくと、リューもゆっくりと、だけどしっかりと抱き返してくれた。 「リューが少しでもそう思ってくれることが、本当に嬉しいから」 「そうか……」  リューは漸く泣き止んだみたいだ。  珍しく潤んだ瞳は赤くなっていて、普段では考えられないようなどこか不安げな表情をしていた。  僕があやすように目尻にキスをすると、擽ったそうに目を瞑る。 「リュー……どうしよう、今凄くリューを可愛がりたい」 「お前、また何を言い出して……」 「泣いたり、不安そうにしているリューを安心させてあげるから。大丈夫、僕は生きてる」 「あぁ。そうだな。取り乱して、悪かった」  何故か謝ってくるリューがおかしくて、フフっと笑ってしまう。  怪訝そうな面持ちをしているリューに甘えるように頬を擦り寄せた。

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