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第7話

ミーハーな世間がクリスマスの予感に浮かれ騒ぐ時節、俺と茶倉はクリスマスソングがどんちゃか流れる街をスーパーの袋を抱え歩いていた。 「おい茶倉半分持てよ!」 「嫌じゃボケ」 訂正、茶倉は手ぶらで俺だけ荷物持ちをしている。 「なんでそんな口が悪いんだよ」 「お前がクリスマスに鍋パしよて言い出したんやん」 「日水村の桑原さんがでかい白菜送ってきたんだよ。あっやべ、マロニーちゃん買い忘れてら」 「白滝でええやん」 「俺はマロニーちゃん支持者なの」 「見た目変わらんのに」 「ちっちっちっこれだから素人は、歯ごたえの違いがわかんねェかなー」 「マロニーガチ勢かい」 「ちゃんを付けろよ守銭奴」 それはそれとして俺の事を使い勝手のいい下僕程度に思ってる茶倉がクリスマス鍋パの誘いに乗ってくれたのは意外、てっきりどこぞのセレブと高級レストランでディナーしたあと摩天楼の夜景を見下ろすホテルのスイートルームにお泊まりするのだろうと妄想してた。 「今夜は予定ねェの?去年は西麻布の美人アロマセラピストとミシュラン星2のイタリアン行ったとかほざいてたろ」 「それは一昨年、去年は荻窪のネイリストとミシュラン星3のフレンチや」 「どっちにしろ自慢じゃねえか」 「お互い独身やし問題ないやろ、人の恋愛事情に口出すなや。お前こそイブに腐れ縁と鍋パて侘しくないんか、下半身の赴くまま男とっかえひっかえしてへんでロマンチックな夜過ごす恋人作れや」 「宅配に付いてた手紙に賞味期限24日できるだけ早く食べてくださいって書いてあったんだよ!」 「律儀な奴」 呆れ顔の茶倉に舌を出しクリスマスの装飾で華やぐ街を見回す。 赤と緑のツートンカラーが店舗のショーウィンドウを彩り、雪に見立てた綿とカラフルな電飾が広場のツリーに纏わり付く。仲睦まじい家族連れやカップルがあちこちスマホを掲げ写真を撮りまくり、サンタの扮装をしたバイトがメガホンを握りケーキを叩き売る。 かと思えばトナカイカチューシャを嵌めた犬がリードを引かれとっとこ歩いてった。 「見ろ茶倉トナカイ犬!あのカチューシャどこで売ってんだろ、ドンキかな」 「物欲しげな顔で犬のケツ見送んな恥ずかしい」 わざわざ振り返り面白がる俺を茶倉が冷めた目で一瞥、水をさす。コイツってば人を興ざめさせる天才。 「年に一度のイブだってのにノリ悪いなー、もうちょい浮かれ騒いでもばち当たらねえぞ」 「プレゼント欲しがる年でもなし大人は師走で忙しいんや、確定申告とかな」 「税理士に頼めば?外注する金あんだろ」 「質素倹約がモットー」 「ツマンねー男。そだ、ケーキ買って帰んねェ?シャンメリーも安い」 「自腹切るならええで」 目が笑ってないアルカイックスマイルを浮かべる。仏の顔は三度茶倉の顔は一度、仏陀に比べ心が狭い。 「せめて割勘……先行くなよ~」 情けない声を上げ、均整とれた背中を追っかける。 「あれチャクラ王子じゃない?」 「マジ?本物?」 「かっこいー!仕事帰りかな、このへんに事務所あるとか?」 「芸能人みたいだねぇ」 コートの裾を翻し颯爽と通過したそばから黄色い嬌声が上がり、若い女の子を中心に通行人が騒ぎ出す。 ホストスーツの背中がおもむろに止まる。 「雑貨屋?」 茶倉はガラス窓の向こうに並ぶぬいぐるみを無表情に眺めていた。 特に熱心に見ているのは両目をボタンで代用したテディベア。パルプ生地とでもいうんだろうか、タオルケットのような素材でできている。 見た目からして主婦の内職っぽいハンドメイド感があふれており、なんというかぶさかわいい。 クールイケメンなチャクラ王子とテディベアの組み合わせが妙にツボにはまっちまい、笑いを噛み殺し肘を突く。 「あーゆーの好きなの?」 「ちゃうわ」 「隠すなって」 「にやけんな、きしょ」 ボタン目のテディベアはショーウインドウの向こうにちょこんとお座りしていた。人待ち顔に見えるのは気のせいだろうか。 茶倉は俯いて白い息を吐く。 「……友達が持っとったヤツに似とんねん」 「友達?俺以外に?いたの!?」 ガラスに映る横顔に気恥ずかしさを浮かべ、バツ悪げにそっぽをむく。 「昔の話」 「俺と会うまえ?小学校とか幼稚園とか」 「さあな」 「男?女?テディベアなら女の子か、ひょっとしてガールフレンド?もしや初恋……」 「妹みたいなもんや。かくれんぼして遊んだ」 「へー。その子は今?」 「知らん」 「連絡とってねえの」 「遠くにおる」 ということは引っ越し前、大阪にいた頃の友達かもしれない。 テディベアに見入る顔はどことなく寂しげで、ひとりぼっちの迷子みたいに心許なく見えた。 「寒。帰るで」 それ以上語りたがらず踵を返す茶倉の背中に声を投げる。 「先行ってろ、そこのコンビニでマロニーちゃんとケーキとシャンメリー買って帰る!」 「自腹で?」 「そうだよ!」 「ほなご勝手に」 半ギレ気味に返す俺に肩を竦め、さっさと去って行く。本当に友達甲斐がないヤツ。けどまあ好都合だ。 茶倉が雑踏に紛れるのを見届けて店に入り、真っ直ぐ棚のテディベアに歩み寄る。サイズは大中小と揃っていた。財布の中身と睨めっこした末、一番小さいサイズに決める。 「いらっしゃいませ、お会計1800円になります」 「プレゼントなんでラッピングしてください」 「リボンは銀色と金色どっちになさいますか」 「金の亡者なんで金でお願いします」 「かしこまりました、お買い上げありがとうございます。よいクリスマスを」 「お姉さんも」 手提げ袋に入れられたテディベアを揺らし、近くのコンビニでシャンメリーとケーキをゲット。 残念ながらマロニーちゃんは売り切れ、クリスマスに鍋パするヤツは結構多いらしい。 「重ッ……」 事務所に帰り着く頃には両腕がだるくなっていた。元剣道部主将じゃなけりゃ泣いてた。 「ただいまー」 両手が塞がってるので足でノック。ほどなくドアが開き、茶倉が不機嫌に促す。 「はよ入れ、暖気と運気が逃げる」 二時間後、俺と茶倉は事務所の机に向かい合って座っていた。中央じゃ白菜と豚バラとネギとしょうがと柚子胡椒をぶっこんだミルフィーユ鍋が煮えている。 「イブは鍋に限るぜ」 「カーネルサンダースの存在意義奪うなや」 「ケンタは本番に回す」 菜箸で白菜を茹で、湯切りして小鉢にとりわけハフハフ頬張る。続いて豚バラをすくおうとし、茶倉に先を越された。 「てめっ、俺が目ェ付けてたのに!」 「お気の毒様」 「また!」 「お前の肉て証拠は?名前書いてあるんか?」 ニヤニヤ笑いで挑発、俺が狙い定めた肉を片っ端からかっさらっていく性悪っぷりにイラ付く。 茶倉にあらかた肉を奪われ、仕方なく白菜を噛む。噛み締める。日水村直送の白菜はミネラル豊富で甘くておいしい……が、やっぱり物足んねえ。俺だって肉が食いてえ。 鍋が空になるのを待ち、給湯室からフルートグラスを二本と栓抜きを持ってくる。 「ん」 片方を茶倉に渡し、袋に突っ込んであったシャンメリーの瓶を取り出す。 早速栓抜きをぶっ刺しコルクを抜こうとするも、土壇場で待ったがかかった。 「お前がやるんか」 「問題でも?」 「嫌な予感がする」 「具体的に」 「コルク栓が壁や天井に跳弾して大惨事に」 「ねえよさすがに」 「信用でけへん。貸せ」 「は?やだよ」 「ノーコンは引っ込んどれ」 「射的の景品落とせなかったくせにえばんな」 「お前かて落とせんかったやろ」 険悪に火花を散らし合い、ほぼ同時にソファーから腰を浮かす。 「正々堂々恨みっこなしじゃんけんで決めようぜ」 「上等」 机を隔て対峙し、軽快な拍子を刻んで拳を振る。 「じゃん!けん!ぽん!」 茶倉はチョキ。俺はグー。 「勝った」 「後出しちゃうか」 「往生際悪ィ」 納得できない茶倉がチョキを見下ろし、眉間に川の字を刻む。 「行くぜー」 鮮やかに栓抜きをひったくりコルクに噛ませる。 刹那、ハプニングが起きた。 間の抜けた祝砲が響き渡るや勢い余って跳ねとんだコルク栓が天井に激突、ソファーの後ろに隠した袋に吸い込まれていく。 「あ゛~~~~待て待て心の準備が!」 消えたコルク栓を追って回り込んだ茶倉が袋を見付け、きょとんとして中をあらためる。 「これは?」 その手が無造作に掴んだのは、金色のリボンを巻かれたボタン目のテディベア。 仕方ないので開き直り、自分のグラスにシャンメリーを注ぎ、ピンクゴールドの泡が弾ける祝杯を捧ぐ。 「サプラ~イズ」 「でけてへんて」 「メリークリスマス!」 「答えになってへん」 「えーとその、じ~っと見てたから欲しいのかと思って……」 「頼んでへんわ」 「思い出のテディベアに似てんだろ。いらねーなら事務所のインテリアに……ガネーシャを左にずらしてさるぼぼと赤べこの間に」 余計な事をしたかもしれない不安が膨らみ、フルートグラスを回して回して回す。 俺は必死に言い訳する。 「ほら、俺たち結構長い付き合いになるけどクリプレ交換した事ねーじゃん。たまにゃいいかなーって思ってやってみたの、世間で流行りのサプライズ的なアレを。でもお前が喜びそうなもんなんて思い付かねーし、いっそメルカリで売ってたビリケンの黄金像でも買うか~って悩んでた時にくまちゃんが降って湧いて」 「ビリケンとテディベアて究極の二択すぎてお前ん中の俺がよおわからへんわ」 茶倉がテディベアを無言でガン見。 「目。とれとる」 「え?あ、ホントだ!店で買った時はちゃんと付いてたのになんで?」 「お前が飛ばしたコルク栓が片方の目ん玉直撃したんや」 「マジか……」 してみると嫌な予感とやらは的中したわけだ。ダチに贈るプレゼントを自分で壊した失態にへこむ。 茶倉は片目がとれたみすぼらしいテディベアを何故かしみじみ見詰め、腕やら足やらさわっていた。 それから奥の机に移動し、一番上の引きだしを開け、まん丸いボタンを摘まみ上げる。 「大きさはぴったり。色違いやけど」 「オッドアイだな。てかそれ」 「捨てそびれて放り込んだまんま、忘れとったねん」 「ボタンの化石か」 感傷的な眼差しに一匙の微笑を添え、呟く。 「……しゃあない。うちの子にしたろか」 机の上にそっと寝かせ、紛失した片目の上に代わりのボタンを置く。 茶倉がグラスをとり、俺が注いだシャンメリーを気取った仕草で照明に翳す。 「乾杯」 「乾杯」 一気にシャンメリーを干す。 「理一、来い」 「何?」 「お返し」 有無を言わさず腕を掴み、ダンスでも踊るみたいにソファーに押し倒す。 「体で払ったる」 「え、ちょ、数珠はまだ」 「除霊ちゃうて。そーゆー気分なんや」 「炭酸で酔っ払ったのかよ」 「かもな」 茶倉がくすぐったげに笑って背広を脱ぎ、俺のシャツを手早くまくり上げる。 男にしておくのは惜しいきめ細かい手が胸板を這い回り、首筋をすべり、赤い乳首をキュッキュッ搾りたてる。 「ショートケーキのいちごみたいやね」 「自分で言っててこっぱずかしくねえのか」 「興ざめさすな、寸止めでやめるで」 熱く柔い唇が鎖骨のふくらみを吸い立て、首筋を甘噛みし、胸の突起をじっくり育てていく。片方の手は下半身に忍び、下着に潜り込んでペニスをしごく。 「ッぁ、んっふ」 「感じとるんか、顔赤いで」 「るせ、ぁっあ、茶倉そこっ乳首すげっ、お前の唇当たって、ぁっあ」 今夜の茶倉はやけに優しい。 無理矢理追い上げるようなまねはせず、俺の快楽を優先しこまやかに尽くしてくれる。それが逆に申し訳なくて、形よく尖った顎先に口付け、いれやすいように腰を浮かす。 「ちゃくらぁっ、もうだめ、じらすな、ッは」 「涙目でおねだりしたかて駄々っ子が誘ってるようにしか見えへん」 「ぁっ、あぁッ!」 サドっけを出した茶倉が俺の陰茎に手をかけ、亀頭のくびれを輪っかにした指で擦りたて、一際敏感な裏筋を逆なでする。 「すぐべとべとにしてもて、難儀な体やね」 鈴口に滲むカウパーをすくいとり、我慢汁の濁流をよく指に塗し、会陰を揉んでアナルをほぐす。 括約筋の抵抗をかいくぐり、前立腺のしこりを探し当てた指が器用に蠢き、ぞくぞく快感が駆け抜けていく。 「もうもたねっ、ぁッふ、ンっあ、ちゃくらもッ、意地悪しないでいれて、俺こんなっ、おかし、頭へんッ、に、ぁあっ」 気持ちよすぎてどうかしちまいそうだ。 激しさを増す指の抜き差しに切なく喘ぐ俺を見下ろし、息を荒げた茶倉がペニスをねじこんできた。 「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ッぁあぁっ」 瞼の裏で閃光が爆ぜる。直腸の性感帯を刺激し、前立腺の突起を的確に突き、余った手指で俺のペニスや乳首をいじくり回す。 「ちゃく、あンっ、ちゃっ、ひうっ、ちゃっ」 喘ぎ声がどんどん高まり、知らず首ったまに齧り付いて腰を密着させる。「怖、すご、来るッ」 「ええ子や理一、行ってこい」 茶倉が甘ったるく名前を呼ぶせいでぞくぞくが止まらず、体奥を突かれると同時に絶頂に達する。 「ぁ―――――――――――――――――――――――ッ……」 少し遅れて粘膜に痙攣が伝い、向こうも射精に至ったことを見ずして悟る。 「メリークリスマス」 力尽きソファーに沈む俺に覆いかぶさり、茶倉がいけしゃあしゃあとのたまった。 「ぐー……ぐー……」 情熱的なセックスの後あっさり寝オチした理一に背広を掛け、一人で飲み直す。 フルートグラスに景気よくシャンメリーを注ぎ足し、炭酸飲料を透かしてテディベアを眺める。 「すごい偶然があるもんやな」 イブの街で偶然見かけたテディベアは、十数年前に遊んだ幽霊の果歩が持っていたものとよく似ていた。 『果歩ね、バイバイしにきたの』 『もうここに来れないの。練ちゃんとはあそべない』 嘗て妹のように世話した果歩も、練に憑いたきゅうせん様に怯んで去って行った。 あの時渡しそびれたボタンを机にしまいっぱなしにしてた理由は単純、くだらない感傷だ。 ボタンを捨てたら最後完全に縁が断ち切れる気がして、踏ん切りが付かなかった。 果歩みたいに素直で可愛い妹が欲しいと、思っていた頃が確かにあった。 「サンタにおねだりするよな年でもない、か」 『練ちゃん』 理一の鼾が低く響く事務所に澄んだ声が滴り、反射的に振り向く。片目がとれたテディベアを抱っこした幼女が立ち尽くし、哀しげに練を見据えていた。 『ごめんね』 相変わらず片目はとれたままで。 行方不明で。 「果歩」 『ずっとさがしてくれてたんだね』 どうして今出てきたのか。 呆然と考えを巡らし、ソファーで熟睡する腐れ縁の助手に目が行く。 理一が橋渡しをしたというのは、都合よすぎる解釈だろうか? 『ボタン。もらってあげられなくてごめんね』 「……もうええよ」 果歩はもうすこしでべそをかきそうだ。元々泣き虫だった。だからほっとけず世話を焼いたのだ。 裏切られ恨んだ過去は流し、机に寝かせたテディベアを起こし、控えめに片腕を振りたくる。 「お前もはよ上がり。長いこと浮遊霊やっとって飽きたろ」 『うん』 「送ったろか」 『だいじょぶ、ひとりでいける』 「ボタンはいらんの?」 『その子は練ちゃんのくまさんだもん、おめめもいじゃ可哀想でしょ』 「でも」 『もういいの、練ちゃんが一生懸命さがしてくれたってわかったから。それに』 果歩が儚げな笑顔を浮かべる。 『片目のくまさんも可愛いって、練ちゃんが言ったんだよ』 そうだ。 思い出した。 物心付いた頃から日常的に幽霊を見てきた。ともすればさわれて話もできた。 周囲の大人たちが練を気味悪がり遠ざける中、耳の聞こえない母は幼い息子に言い聞かせたのだ。 普通の人と違うのは悪いことじゃないよ。 なくしたから拾えるものや、出会えるものがたくさんあるんだよ。 母の教えを反芻し、唇を噛む。 「せやかてきゅうせん様は」 『にょろにょろね、少しちっちゃくなったから出てこれたの』 「え?」 気持ちよさそうに鼾をかく理一を視線で示し、訳知り顔でほのめかす。 『お友達のひとがいい子いい子したおかげだね』 「理一がなんやて?」 『もういかなきゃ』 微笑む。 『練ちゃん言ったでしょ。果歩のくまさんが落っことしたおめめは世界中をコロコロ転がりながら旅して、素敵な外国の景色を見てるんだって』 しょんぼりする果歩を慰めたい一心でこじ付けた作り話が、イブの夜に回り回って帰ってきて、ささやかな奇跡を起こす。 『果歩ね、嬉しかったんだよ』 テディベアの腕を振る果歩の姿が次第に透き通り、大気に溶け込むように消えていく。 『ばいばい』 「さいなら」 今度こそ、本当に。 果歩が無事上がったのち、規則正しい寝息をたてる理一の隣にぽすんと座り天井を仰ぐ。 「案外おかんの言うたとおりかもわからんな」 茶倉練が幽霊や怪異の見えない普通の人間だったら、高校で理一と出会い、なんだかんだ腐れ縁を続けてきた「|現在《いま》」はない。 きゅうせん様に憑かれていなかったら、理一を悩ます霊姦体質にさっぱり共感できず、個室トイレのオナニーにただただドン引きし、ヤバいヤツだと遠ざけていた。 理一がいない人生なんてきっとツマらないし、今となっては考えられないのだった。

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