10 / 56
第10話 浴室
――着いた先は、浴室のようだった。
今は4月の終わりで外の気温もだいぶ暖かくなってきたとはいえ、部屋の中はまだ少しヒンヤリとした空気が漂っている。
先程の寝室といい、この場所といい、無駄に広い。
物が少なく、どこか無機質だった。
琥珀 の体は、手足を拘束されたまま、男が敷いたスポンジ製のマットの上に降ろされた。
男は逞しい手にゴム手袋をはめると、慣れた手付きでシャワーヘッドを外していく。
琥珀の身体を四つん這いにさせ、何の躊躇 いもなく、ホースの先を尻へと向けた。
「ひッ……!」
尻を中心に下半身全体を濡らされ、思わず身構える。
「いい子にしてろよぉ……?」
怖くなり、琥珀の体は一気に震え出す。
怯える腰を後ろからグッと掴まれ、敏感な尻の窪みに冷たいローションをたっぷりとかけられた。
「ッやぁ!」
気持ち悪さに、思わず声が漏 れた。
「……んっとに、小せーよなぁ」
男の指が秘部をなぞる。
明るい場所でまじまじと見られ、恥ずかしさで死にそうだ。
「お前さぁ、昨日聞いたと思うけど、今日から毎日仕込みはメインで俺がする。我慢しろよ、ココをよく見せろ」
「……?!ああっ!やだぁ!ケホッ」
仕込みの意味が分からないのか、琥珀は不安の表情を浮かべながら、必死に身を捩 じらせた。
「暴れんな。どんな具合かしっかり見てやる。お、なんだよ、前はさっきよりギンギンだな」
会ったばかりの男に尻を割り開かれ、どうしようも無く恥ずかしいのに、下半身ははしたなく熱を持つ。
体温が一気に上昇し、目から涙が溢れた。
先日の『お披露目』で受けた羞恥の感覚が、全身を駆け巡る。
「ああッ!や!コホッ、やめ……!」
男の指が、琥珀の後ろの穴の襞 をなぞり、力を込めた。
「いっ……!!あ……」
琥珀は一瞬目を見開いて、すぐに顔を顰 めた。
敏感な部分に生じた異物感に足が竦 み、息が止まった。
手袋越しに分かる男の太い中指は、ローションに滑って思いの外簡単に奥まで入ってくる。
「キッチィな。痛いか?」
男の問いに、上手く言葉が出ない。奥歯に力を込めて必死に動揺を押し殺す。
「ハァッ!んッ、んッ……んああッッ!」
情けない声とともに、我慢していた息が口から一気に吐き出た。
「今ローターだけ先に出してやるから。逃げんな。取れなくなったら困るだろぉ?」
痛みより、不快な圧迫感と恥ずかしさが込み上げる。
それでも恐怖心とは裏腹に、性器が萎 えない。
琥珀は体を硬直させ、侵入に耐え続ける。
「――琥珀、お前ちゃんと食ってたのか?19なんだろ?成人前の男にしちゃ、身体ができてねぇよなぁ。俺ぁてっきり中学生かと思ったぜ?」
指をねじ込まれ必死に耐える琥珀とは裏腹に、男はまるで日常会話のように続けた。
「フリーターしてたんだって?こんなガリガリじゃなんもできねーだろ」
クチュクチといういやらしい音が響く。
「う……うぅ……やッ……も、やだぁッ」
この男には、名前も年齢も、全て知られてしまっているようだ。
だけど、そんなことはもうどうでもいい。
「お、ちょっと柔らかくなってきたな?馴らせばすぐに入るクチか?まぁ、怪我すると厄介だからな。そのまま耐えろよ?」
「ああ……あッ……ああ、くっ……はあ」
早く終われと心の中で何度も唱えながら、繰り返される刺激に悶絶する。
「お!あったあった」
中で、男の指がローターを捕えた。
――グチュッ
その瞬間、偶然弱い部分にピンポイントで力が加わった。
「……ッ!?そこ、ダメ!や……!!」
疼 きと共に強烈な刺激が体内を駆け巡り、目の前に閃光が散った。
内面から迫 り上がる熱に耐えきれず、思わず達してしまった。
「……ッあああ!!!!!」
精液がポタポタとこぼれ落ち、琥珀の白く細い腿 を濡らした。
ガクガクと膝が震え、脱力した体を男が抱え直す。
「ケホッ……ケホッ……ヒュッ……カハッ!」
「琥珀ぅ!出すなら出すって言えよな。てか……後ろだけでイケんのか、才能あるな」
男は微笑を浮かべ、からかうように尻を軽く叩いた。
「うぅ……。ひっく……ケホッ、ケホッ」
突然の羞恥と快感に、琥珀は涙が止まらない。
「あああ、泣くなよ!ホラ、結局まだローターも中だし、浣腸も洗浄もこれからだぞ。力抜け」
男が再び琥珀の腰に手を当てた、その時――。
ともだちにシェアしよう!