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第10話 浴室

――着いた先は、浴室のようだった。 今は4月の終わりで外の気温もだいぶ暖かくなってきたとはいえ、部屋の中はまだ少しヒンヤリとした空気が漂っている。 先程の寝室といい、この場所といい、無駄に広い。 物が少なく、どこか無機質だった。 琥珀(こはく)の体は、手足を拘束されたまま、男が敷いたスポンジ製のマットの上に降ろされた。 男は逞しい手にゴム手袋をはめると、慣れた手付きでシャワーヘッドを外していく。 琥珀の身体を四つん這いにさせ、何の躊躇(ためら)いもなく、ホースの先を尻へと向けた。 「ひッ……!」 尻を中心に下半身全体を濡らされ、思わず身構える。 「いい子にしてろよぉ……?」 怖くなり、琥珀の体は一気に震え出す。 怯える腰を後ろからグッと掴まれ、敏感な尻の窪みに冷たいローションをたっぷりとかけられた。 「ッやぁ!」 気持ち悪さに、思わず声が()れた。 「……んっとに、小せーよなぁ」 男の指が秘部をなぞる。 明るい場所でまじまじと見られ、恥ずかしさで死にそうだ。 「お前さぁ、昨日聞いたと思うけど、今日から毎日仕込みはメインで俺がする。我慢しろよ、ココをよく見せろ」 「……?!ああっ!やだぁ!ケホッ」 仕込みの意味が分からないのか、琥珀は不安の表情を浮かべながら、必死に身を()じらせた。 「暴れんな。どんな具合かしっかり見てやる。お、なんだよ、前はさっきよりギンギンだな」 会ったばかりの男に尻を割り開かれ、どうしようも無く恥ずかしいのに、下半身ははしたなく熱を持つ。 体温が一気に上昇し、目から涙が溢れた。 先日の『お披露目』で受けた羞恥の感覚が、全身を駆け巡る。 「ああッ!や!コホッ、やめ……!」 男の指が、琥珀の後ろの穴の(ひだ)をなぞり、力を込めた。 「いっ……!!あ……」 琥珀は一瞬目を見開いて、すぐに顔を(しか)めた。 敏感な部分に生じた異物感に足が(すく)み、息が止まった。 手袋越しに分かる男の太い中指は、ローションに滑って思いの外簡単に奥まで入ってくる。 「キッチィな。痛いか?」 男の問いに、上手く言葉が出ない。奥歯に力を込めて必死に動揺を押し殺す。 「ハァッ!んッ、んッ……んああッッ!」 情けない声とともに、我慢していた息が口から一気に吐き出た。 「今ローターだけ先に出してやるから。逃げんな。取れなくなったら困るだろぉ?」 痛みより、不快な圧迫感と恥ずかしさが込み上げる。 それでも恐怖心とは裏腹に、性器が()えない。 琥珀は体を硬直させ、侵入に耐え続ける。 「――琥珀、お前ちゃんと食ってたのか?19なんだろ?成人前の男にしちゃ、身体ができてねぇよなぁ。俺ぁてっきり中学生かと思ったぜ?」 指をねじ込まれ必死に耐える琥珀とは裏腹に、男はまるで日常会話のように続けた。 「フリーターしてたんだって?こんなガリガリじゃなんもできねーだろ」 クチュクチといういやらしい音が響く。 「う……うぅ……やッ……も、やだぁッ」 この男には、名前も年齢も、全て知られてしまっているようだ。 だけど、そんなことはもうどうでもいい。 「お、ちょっと柔らかくなってきたな?馴らせばすぐに入るクチか?まぁ、怪我すると厄介だからな。そのまま耐えろよ?」 「ああ……あッ……ああ、くっ……はあ」 早く終われと心の中で何度も唱えながら、繰り返される刺激に悶絶する。 「お!あったあった」 中で、男の指がローターを捕えた。 ――グチュッ その瞬間、偶然弱い部分にピンポイントで力が加わった。   「……ッ!?そこ、ダメ!や……!!」 (うず)きと共に強烈な刺激が体内を駆け巡り、目の前に閃光が散った。 内面から()り上がる熱に耐えきれず、思わず達してしまった。 「……ッあああ!!!!!」 精液がポタポタとこぼれ落ち、琥珀の白く細い(もも)を濡らした。 ガクガクと膝が震え、脱力した体を男が抱え直す。 「ケホッ……ケホッ……ヒュッ……カハッ!」 「琥珀ぅ!出すなら出すって言えよな。てか……後ろだけでイケんのか、才能あるな」 男は微笑を浮かべ、からかうように尻を軽く叩いた。 「うぅ……。ひっく……ケホッ、ケホッ」 突然の羞恥と快感に、琥珀は涙が止まらない。 「あああ、泣くなよ!ホラ、結局まだローターも中だし、浣腸も洗浄もこれからだぞ。力抜け」 男が再び琥珀の腰に手を当てた、その時――

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