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第11話 蠕動

――コンコン!コンコン! 誰かが部屋の扉をノックする音が響いた。 「あ、来たか。おー、今行くー」 男は立ち上がり、浴室を出た。 来訪者は、男と親しい人物らしい。 しばらくして、金髪を後ろで1つにまとめた背の高い若い男が浴室にやって来た。 「うっわ、はじめまして♪調教中?オレはミヤビ。ちなみに、樫原(カシハラ)さんの舎弟ね。ひゃー!ちっこい!かーわいーッ!」 朝霧琥珀(あさぎり こはく)は、若い男の随分と明るい声色に、裸で拘束された状態の我を忘れ呆気(あっけ)にとられた。 そして先程から自分をかまう男の名を、今はじめて「樫原(カシハラ)」と理解した。 「おーミヤビ。頼む。ちょっと手こずって、中洗えてねぇ。こいつ声出ねーくせに噛むから口(ふさ)げ。あ、顔には絶対傷付けるなよ」 ミヤビは樫原よりだいぶ若く、確実に20代のようだった。 切長の目が涼しげで、モデルのような華やかな出立ちをしている。 「……?!むぐッッ!!」 琥珀の口にミヤビが慣れた様子でタオルを巻いた。 「あんまり悪い子は、怖ーいお兄さんにお仕置きされちゃうよー?」 ――髪を引っ張られ、琥珀の身体はうつ伏せにマットへ押さえつけられた。 安易(やすやす)と腰を持ち上げられると、小さな秘部が丸見えになった。 「んぐッッ、んん……!んッ!!」 再び羞恥(しゅうち)が込み上げ、全身が熱くなる。 体を揺らして嫌だとアピールするも、余裕で押さえ付ける2人には全く届かない。 「ねぇ、顔もっと見せてよ。かーわいー!樫原さんに、いやらしいとこ全部見られてるよ」 ミヤビが、楽しげに笑う。 「でもなんつーか、子どもみたいっすね?」 「ミヤビ、前しっかり押さえててくれ!あと、ガキみてぇなナリだが、年はお前とそう変わんねーんだよ」 「ええ?!!マジ?!」 樫原の指で、グニグニと腸壁を刺激されたあと、強引にローターが掻き出された。 琥珀の尻穴に注がれていたローションが、ぼたぼたと床に滴る。 「んんん!んッッ!!」 その苦しさに薄い体は悶絶(もんぜつ)し、ビクビクと肩を震わせた。 ローターが無事抜かれ、安堵するのも束の間、息も整わないうちに、琥珀は再び強引に尻を持ち上げられた。 今度は細いプラスチックのようなものが肛門に押し込まれ、冷たい液体が穴の中へと()れられた。 ――ッッ!」 琥珀の顔が、思わず引き()る。 眉を(しか)め、歯を食いしばった。 「ああー浣腸されてるマジエロい」 樫原が琥珀の尻に薬液を流し込む様子を、ミヤビは光悦とした表情を浮かべながら見ていた。 浣腸だ――!! 琥珀が気付いた時にはもう遅く、訳も分からぬまま挿入に耐えることしかできなかった。 「ッ!!……んん……んッ!!」 冷たい管が、琥珀の敏感なところを刺激する。 じんわりと、そしてゆっくりと薬液が流し込まれる。 次第に、下腹部に違和感が出てきた。 「初めてだからな。このくらいにしとくか。まだ出すなよ。俺が良いって言うまでは我慢だ」 樫原の指が、琥珀の小さな穴をみっちりと塞いだまま抜かれない。 「んん……んーッッ!!!」 琥珀は腹痛を感じ、焦って樫原を見つめた。 蠕動(ぜんどう)運動が、始まったのだ。 「琥珀ちゃーん?お腹痛いかなぁ?あーうるうるしてる。たまんねー!オレこいつ抱きたい」 「オイ、ふざけんな。お前がいくらゲイだからって、くれぐれも許可なく一線は越えんなよ。こいつ、縛んねぇとクソ暴れちまうし、抱くとか言ってあんま脅かすな」 「――ハッ……ハァ、ハァァ……ハァッッ」 拘束されたまま、琥珀は2人の男に観察されていた。 マットの上に横にしてはもらえたが、樫原の指は、執拗に肛門を塞ぎ続ける。 見つめる視線にじっとりと身を突き刺されながら、腹の痛みに必死に耐えた。 今すぐにでも、この辛さを解放したい。 琥珀は苦しそうに息をしながら、樫原に縋り付いた。 「お?限界じゃねっすか?」 ミヤビの言葉に、琥珀が必死に喘ぐ。 「んあッ……んッ!ハアッ……ハアッ」 「よし、今日のところは俺がトイレに連れて行く。ミヤビは待っててくれ」 樫原は、そう言うと琥珀の首輪に手をかけた。 「えー?!スカ見たかったー!」 「ただ出してくるだけだ!初めてなんだから仕方ねーだろ!」 ふざけたように残念がるミヤビを他所(よそ)に、樫原が落ち着いた声色で告げた。 「……あれ、出してくれ。(ふた)しておかねぇと」 樫原はミヤビからバイブを受け取り、琥珀の首輪を引っ張った。 痛みと葛藤し、強張(こわば)る小さな尻を掴むと、挿入していた指を一気に引き抜いてみせる。 「んんッ!!」 琥珀の身体が大きく跳ねた。 すかさず、ヒクつく湿った穴に太いバイブが躊躇なくねじ込まれる。 「んんッッ!?!……んッ!!」 驚いて暴れようとする琥珀にかまわず、樫原はバイブのスイッチを入れた。 「……!!…!!!」 鳴り響く振動音と、突き上げる衝撃に、琥珀は声が出ず目を見開く。 あまりの辛さに、絶望に近い感情が押し寄せた。 「もうちょっとの辛抱だ」 樫原は震える琥珀の体をあやすように抱きかかえると、トイレへと向かった――

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