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第6話 犬の自覚

柚木(ゆずき)に抱えられた琥珀(こはく)の体が、黒光りするデスクの上に降ろされた。 付き人2人に仰向けに押さえつけられた躰は、身動き一つとることができない。 ここは通常、最高幹部が出入りする会議室であり、会長室だ。 高級そうな重厚感あるテーブルとソファが並んでいて、装飾品も(きら)びやかである。 一般的にイメージするヤクザのアジトのような煙たい雰囲気は無いが、明らかに普通の会社とは異なる独特な趣きがあった。 その広い部屋を一望できる位置に据えられた会長デスクの上で、琥珀の体は捕らえられていた。   丸裸で横たわる汗ばんだ肌には、()き出しの性器がまだ僅かに熱を(はら)んで虚脱していた。 柚木が躊躇(ちゅうちょ)なく両脚を割り開くと、聴衆の前で無理矢理暴かれ、散々刺激された陰茎から溢れた液体が、後ろの小さな穴へと伝っていた。 柚木はそのまま、自らが(はずかし)めた淫猥(いんわい)な肢体を上から下まで愛撫(あいぶ)する。 「う……やめ、やめろぉ」 現実を受け入れられず、恐怖で琥珀の声が震える。 「――1千万。財力が有れば、特にどうってことの無い数字だな。だがお前が背負うには大きすぎる借金だ」 琥珀の体が、ピクリと跳ねる。 「せいぜい毎月の返済額を稼ぐのがやっとだったんだろ?利息がどんどん膨らんで、永遠に完済できやしない。おまけに路頭に迷ってろくに食えてもない。そんなお前を救ってやったんだ」 柚木は小さな頬に手をやると、力のある目で凄んだ。 「受け入れろ」 その顔に表情は無く、琥珀の心の奥底が一瞬で凍り付いた。 「だからって……だからって、こんな……嫌だ……うわああああッ!」 琥珀は泣きながら体を強張らせ足掻(あが)いた。付き人の腕を振り払い、駆け出そうとしたその時、ぐんと鎖が引かれ引き戻される。 デスクに手をつき、後背位に拘束されると、柚木の指が尻の窪みを容赦なく攻め立てた。 グチュグチュといやらしい音が室内に響き渡る。いつの間にか性器が張り詰め、先端が湿り始めていた。 「ッ!!やだ!いやだぁっ!他の事ならなんでもする!だから……!!」 琥珀は必死に身を(よじ)るも、執拗(しつよう)に粘膜を(いじ)りまわされ、何度ものたうち回る。 「ココは十分、(よろこ)んでるぞ?お前の恥辱に(もだ)える姿はそそる。お前みたいなのは、需要があるんだ」 「ッ!……殺せ……殺せよぉ!こんなことされるくらいなら、死んだ方がマシだッ!」 「そうか、なら両親のところへ帰るか?」 ――ッッ!!」 琥珀の表情が固まる。肩が震え、血の気が引いていく。 「知ってんだぜ?お前、父親に虐待されてたな?調べはついてんだ。帰る場所がなかったんだろ?家を飛び出した挙句(あげく)借金抱えて、これからどう生きていくってんだ?ああ?」 柚木の指が、確信したように前立腺を刺激する。思わず背中を()()らせ、ビクビクと震えた。 渾身(こんしん)の力で抗うも、(いじ)め抜く指の力に追い込まれ続ける。 「この穴も、初めてじゃねえよなあ?ん?誰に使われた?父親かぁ?」 「……ッく、……ハァ……ハァァ」 「ダチかあ?」 「うう!……ああ……うっく」 「両方か」 ニヤリと笑った柚木が自身のベルトを外し、琥珀の細い股を押し広げる。 もう十分に解れた穴に、硬く反り返った陰茎を勢いよく突き上げた。 「痛ッ!あ!!ああああああ!!!」 琥珀の汗ばんだ肌が、デスクに(こす)れた。 後背位に押し付けられたまま、柚木に深く貫かれる。 それまでの指とは違う、異物の感覚。 その異物が、大きな痛みと(わず)かな快楽をもたらしながら、抵抗を無視して内壁を掻き回した。 「せいぜい一方的に嬲られてたんだろ。まあお前がどんだけ調教済みかは知らねぇが、他の奴の倍かけてウチのやり方でじっくり仕込んでやる!お前は一生、組の犬だ!いいな!」 話しながら、柚木は息を荒げ強く腰を振った。 琥珀の内側に、一気に熱が()り上がる。 「いやだぁッ!嫌だぁッ!ああ、ああああ――!」 「ッん!!」 呆気なく絶頂し、琥珀はその場に果てた。 同時に柚木も射精し、目の前のヒクつく穴から性器を抜き去った。 「……あ……ああ……うっ……おれは……犬なんかじゃ……な……」 薄れゆく意識の中で、琥珀の言葉も弱々しく消えていった。 ――落ち着いた口調で柚木が呼びかける。 「樫原(カシハラ)、入ってこい」 「……失礼します」 開いた扉の向こうから、大柄な体躯(たいく)の男が入室した。 柚木は、やれやれと呆れながら(たの)しそうに告げる。 「っとに、こいつは手がかかる。ほら見ろ、寝ちまったよ。大体分かってると思うが、こいつはかなり絞り甲斐がありそうだと思うだろ?泣いて暴れる(すべ)しか持ってねえ。一から躾を頼むぞ」 「はい――」 2人の男が約束を交わした。 この日を境に、琥珀の犬としての日々が重く幕を開けた。

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