小さくなろうとする薄い体をうつ伏せにし、精液でぐちゃぐちゃになったパンツを脱がせる。 嫌がって身を捩(よじ)る様子を少し楽しみ、白い尻の間に指を這(は)わす。 そのまま尻を割り開き、可愛い穴を舌で舐めた。 「あっ！樫原(カシハラ)さんッ……ダメ！……舐めちゃ……や」 「琥珀(こはく)……すげぇヒクヒクしてる」 時折り舌を突き入れると、敏感な体は羞恥に震え、萎えていたはずの性器を容易(たやす)く持ち上げた。 琥珀の片腕だけ後ろ手に掴み、尻にたっぷりとローションを垂らす。容器の先を穴に差し込み、中にも入るだけ流し込む。 「あうッ！冷たいっ、なにッ？！」 「逃げるなよ」 「い……や……、アアンッッ！」 片腕を拘束したまま、ピンクに艶めく小さな穴の中を指で抉(えぐ)って鳴かせてみせた。 ゆっくりと大きく掻(か)き回し、グチュグチュと音を立てながら、前後に出し入れを繰り返す。 「やっ！……ひあッ……あんッ……あああ！」 ローションに滑ってその勢いを増す指が、容赦なく内壁を押し上げる。 腹側の敏感なポイントを時折り掠(かす)めると、漏れる声が喘(あえ)ぎ声に変わった。 「アッ！アアッ……樫原さんッ樫原さんッ！」 もうダメと、潤んだ瞳が訴える。 「しっかり解してるから、もうちょっと待て。指3本は入れてやる」 「あう、あッあッ！イッちゃう……よォ」 「我慢してろ」 チュッと、樫原は琥珀の尻にキスをした。 琥珀は目を見開いて一瞬固まったあと、すぐに刺激に悶え泣き顔になった。 「――はぁ……はぁ……ハァ」 「琥珀、力抜いてろよ」 「あ……ああ……ハッ」 「入れるぞ」 「ッッ！！」 「ックソ……お前、締めすぎだ」 十分過ぎるほど解しても、性器を挿れるには少々狭い穴が余裕を奪う。 それでも少しずつ馴らして動かすうちに、琥珀の腰が上下を始めた。 「いいぞ。お前の中、ちょっとやべぇ」 「アンッ！樫原さ……くるしっ……んああ」 泣きながら喘ぐ琥珀の体を後ろから抱きかかえ、耳元で囁(ささや)く。 「琥珀が好きなのは、ここだよな？」 「……あ……あ……そこはッ……だめ、や、やああッ！」 前立腺を穿(うが)ち、琥珀の体にそれまでで一番強い刺激が走る。 「あと……前は、ここだもんな？」 「ひッ！ああッ、一緒には…ッ！やああああッ！」 張り詰めた性器の括(くび)れと、先端を交互に扱く。後ろも前も同時に責められ、琥珀は思わず嬌声を上げた。 「堪らないだろ。こうなるように、時間をかけて手懐けたんだ」 「あああ！アンッ！あッ……ひあっ！痺れ、て……もう……」 「なんだ琥珀、泣きごと言ってっけど体は感じまくりじゃねぇの」 「あ……うぅ……こわ……い、よ」 「怖くねェ。そういうのは、気持ちィっていうんだ。なぁ琥珀、そうだろ？」 何度も何度も強く穿ち、樫原の背中に汗が伝う。 琥珀は全身を赤く染め、喘ぐ度に涙と唾液がポタポタと滴った。 「ハッ、ハァ……キモチ……いッ……しらな……こんなの、ダメだ、よォ……！」 もたらされる甘い刺激の一つ一つに溶かされ、淫(みだ)らになった全身が理性を無くして熱く乱れる。 琥珀は思考より先に、その体の全部で、樫原を欲していた。 「樫原さッ……ん」 「ん？どうした」 「腕に抱いて……もっとして」 「ハハ、ほらお前も、ヨガれるよぉになったじゃねぇか。えらいぞ、琥珀」 樫原は優しくそう伝えると、腕の中に琥珀を収めて、高まった熱を最奥まで一気に突き上げた。 「――あ、ああ、あああッッ！！」 「んッ！っと。俺もイッちまった」 ビクビクと震え疲れて力の抜けた体が、シーツに倒れ込む前に抱え直す。 まだ火照るその体を自分の胡座(あぐら)の上で抱きしめ、最後にもう一度キスをした。 「琥珀、セックスの気持ちよさ、分かったろ？お前のイイとこ、これから沢山可愛がってもらえよ」 蕩(とろ)けたままの瞳が、こちらを見つめる。 「ただちょっと、あんまり客は煽(あお)るんじゃねぇぞ――」 厚い掌(てのひら)で頬を撫でると、琥珀は安心したように、ゆっくりと目を閉じた。 琥珀の仕込みに就いて約1ヶ月半、それも今日で最後。 できれば慣れるまでもう少し待ってやりたかったのだが、時間は止まってはくれない。 琥珀を寝かせた樫原は、ソファに座り直しタバコを吸って、その日々の終わりをゆったりと受け入れた。 「――以上だ。解散！」 柚木(ゆずき)はそう告げると、足早に会場を去っていった。 組の集会が終わり、講堂内がザワつく。 活動報告が済んだ後、琥珀を店に出す旨は、柚木によってこの場の全ての組員達に伝わった。 「琥珀ー、なに固まっちゃってんの？デビューした後も遊びに行ってやるからなー♪」 明るい声が隣で響く。 「ミヤビさん……、はい」 その後再会したミヤビはスッキリとした様子で、今までと変わらず陽気なテンションのまま琥珀を構ってくれていた。 「ミヤビ、琥珀が店長との面会控えてるから行くぞ。２人とも来い」 樫原に呼ばれミヤビと共に返事をした。 不安を抱えたまま、琥珀は歩き出す。 「おいおいそこのワンちゃんよぉ！もう俺らの相手はしてくんねーの？」 ケラケラと嘲笑(あざわら)う声に足を止める。数人の組員達が、揶揄(からか)うように野次(やじ)を飛ばした。 「……ッ！！」 何も言えずに俯(うつむ)いていると、突然野次が悲鳴に変わった。 「テメェらもかよ！！オラ！！シメられてェ奴(ヤツ)ぁ全員出てこいやァ！！」 「うわッ！四条雅(しじょうみやび)だ！！つい最近、他の奴ら何人か病院送りにしたんだろ？！」 「ヤベェ！！逃げろ！！」 先程まで笑みを浮かべていたミヤビが、血相を変えて男達を次々に殴り飛ばす。 琥珀は思わず樫原の背後(うしろ)に回り、その惨状(さんじょう)を恐る恐る眺めた。 「あ、あの樫原さん。……ミヤビさんって……一体……？」 「あ〜……、そういや話してなかったな」 樫原は苦笑いし、頭を掻(か)いた。 「あいつは14のときこの組に来たんだが、あいつの親はネグレクトの上、薬の売人やっててな。あいつにも薬を打ってやがった」 「――琥珀に今度手ェ出してみろ！！ブッ殺してやる！！」 「最初に出会ったときはそりゃあもう尖(とが)りまくってて大変だったぞ。まあ、すぐに暴力からSMに目覚めて変わったが。……あいつゲイだからな。しかもリバ」 「……な！ゲイってそれなら、いっそミヤビさんが店に出ればいいじゃないですか！！」 琥珀は思わず突っ込んだ。 「四条テメェ！ホモの分際で、同じホモの擁護(ようご)かよ？！つか俺らも気をつけねェと、殴られる前に四条に襲われるんじゃねー？！」 「うわぁ、超コエー！ギャハハハ！！」 「琥珀、それは無理なんだわ。見ろ」 ブチ切れたミヤビが飛び上がり、男の脳天めがけドロップキックした。 たちまち鼻血を噴き出し失神する相手を見据え、低く呟く。 「オレは可愛いのとカッケェのしか相手にしねェんだよ。頼まれても襲うかっつーの！！」 呆気なくその場を全滅させ、ミヤビは振り返った。 「あーすいませーん！行きましょー！樫原さ〜ん、琥珀〜♪」 叫びながらこちらに向かってくるミヤビを他所(よそ)に、琥珀は樫原に問いかけた。 「な、なるほど……？そっか、ミヤビさんのあのテンションって、薬の影響でちょっとアレだったんです……ね？」 「いんや。それは元々だ。薬なんてとっくに抜けてる。あいつゲイで女に靡(なび)かねぇから、組が管理してるガールズバーでボーイやってる」 「……へ、へぇ」 琥珀のこれからは、まだ、始まったばかり――。